23話 飛び地がシマなら税収はアガリですか?
「ルカ、もどってこい。結論だけいうぞ。辺境伯は俺。俺は当分の間、各地の紛争に介入して反アルマ派を潰して回る。留守番はシータとロレンツォだ」
アルマがテーブルのお誕生日席からこっちの世界に呼び戻してくれた。
迷える子羊は天啓により救われました。ありがとうアルマ!
「ようやく把握できたよ。ようするに水戸黄門だね? あ、でもアルマのアレな紋章だしたら逆に刃向かってきそう」
「なるほど。まちがっちゃいないけどな。それなら紋章を懐から出すのはエヴァか」
くぅ、カクさんの座はエヴァか。
たしかに公爵令嬢との相乗効果がみこまれるから適役だよね。
「私は?」
スケさんでいいよね? 湯上がりシーンに自信ないし。
「スケさんはトビトだな。自分でわかってるだろ?」
アルマが人の悪い笑みを浮かべている。
「ひどい! うっかりものじゃないし! 私戦力の要なんだからせめて風車吹きたい!」
どこかから、”そいつはそれがしの仕事でござる!”とか聞こえてきたけど無視しよう。
キャラを安定させてから出直してきなさい。
「異世界に関する話なのでしょうけど、とにかくルカさんも概ね事情を理解できたということでいいでしょうか?」
ぎゃあぎゃあと言い合ってたので、手をたたきながらロレンツォさんにたしなめられた。
「うん大丈夫。辺境伯の飛び地領とか王国内の各地で紛争がおきてるから戦ってくれている味方に加勢すればいいんだよね?」
「ちがいます」
うわん! だんだんロレンツォさんが手厳しくなってく!
「アルマに積極的に味方になる人は今のところいませんよ。反アルマ派が死活問題になったのでなりふりかまっていないだけで、アルマ派の人も世界樹が消えた被害をこうむっているんですから」
あ、私たちは味方ですよ? とウィンクをそえて言い訳をするロレンツォさん非常に絵になります。
でもさらりとつきつけられた現実に頭が冷える思いだ。
そうなんだよね。魔法が消えて喜ぶ人なんていないよね。
「じゃあアルマ派ってなんでアルマ派っていうんですか?」
「反アルマ派が言い始めたからです。反アルマは体のいい悪者がアルマだからそれを口実として辺境伯飛び地を——シマを狙うのであって、彼らがほしいのは結局マナに依存せず税収が上がる土地です。彼らは反アルマ派ではない領主にも”反アルマはではないおまえ達はアルマ派だな”とレッテルを張って土地を侵略する口実としています。アルマ派は正しくは反・反アルマ派なんです」
「じゃあアルマ派はアルマの肩をもっているわけじゃ」
「ないですね。死活問題なので反アルマ派は結局侵略をやめません。アルマ派はアルマを断罪しない方が後々反アルマ派を糾弾できるのでそのようにしているだけです」
驚愕の新事実だ。
アルマ、あなたぼっちだよ!
トビトもエヴァも微妙に目を泳がせているし。空見上げてる場合じゃ無いよ!?
【補足説明】
時代劇を知らない人向け
水戸黄門:
徳川光圀。ドラマでは日本全国めぐっていますが、現実ではしていません。
でも将軍に嫌がらせをするくらいには元気のいいおじいちゃんだったようです。
綱吉:生き物大事だから!特に犬、占いで殺しちゃだめって出てたから絶対ころさないでね!
光圀:あ、これ親戚のおじいちゃんからの贈り物(犬の皮ズラー)
綱吉:ぐぬぬ
カクさん:
毎回印籠をだす人。印籠を預かるくらいなので堅くて真面目。
スケさん:
カクさんとは対照的に女好きなナンパ師。ただし本名は助三郎。スケベの語源ではないです。
八兵衛:
食いしん坊キャラ。
風車の弥七:
だいたいいいところをもっていく忍者。
おぎん:
むしろ由美か○るという役者名の方が有名。しずかちゃん以上にお風呂シーンが多い。
【一般的じゃない用語】
シマ:
ヤ○ザの縄張り
アガリ:
ヤ○ザの上納金




