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19話 ちょっと理解の範囲をこえている。

・後半各所加筆修正(2018/10/19)



「ハハ、決闘だなんて古めかしい制度をもちだされる。いいのですか? 決闘で魔法はつかえないのですよ?」


 多少余裕を取り戻したユダが皮肉を顔に浮かべてロレンツォを見据える。

 野心家のもつ残忍な表情をしている。

 ギリギリまで油断させて縛り上げてからなぶり殺していくのは戦いで傷つく覚悟のない小心者がする事で、先ほどの顔と矛盾はしない。小心者かつ野心家というのもありうるからね。

 

 それにしても決闘ならユダだって魔法をつかえないはずなのにどこからくるのその余裕? 

 まわりは彼の余裕の根拠がわかっているみたいだけど。


「では私が辺境伯爵位と領地の明け渡しをするとして、貴方自身はなにをかけますか?」

「私の今の領地、王国の東にある街道の要衝地です」

 

 ロレンツォさんの大盤振る舞いにざわめきが広がる。あきらかに釣り合わないからだ。


——あの子爵さまは何を血迷われたのか。

——ユダ様はガブリエラ様の弟子、魔法を使わない魔法使いなんて簡単に殺してしまえるのに。


 ロレンツォさん、まずくない? 決闘は起こらないって言ってたけど、これ明らか始まる雰囲気じゃない?


「領兵! これより名誉ある死闘としての決闘をおこなう。誰もいれるなよ」


 領兵が二人の周囲を取り巻き決闘のリングをつくった。四属性防壁も展開している。

 両者が普段はただの飾りの剣を手に構えをとる。


「それでは——」


——ドッ、ドンッ!

 

 魔法!? ってタミラ!?

 領兵の一人が防壁を破壊され尻餅をついた瞬間に、ユダとロレンツォの間に土属性のストーンバレットの弾が刺さった。


「兄さん決闘をやめて! これじゃハッピーエンドに行けないじゃない!」

「タミラ! 領兵何やってたんだ!」


 まさかのタミラ嬢乱入! よく包囲を突破できたね! じゃなくて、これって領兵的にどうなの?


「決闘はけがされた! けがされた!けがされた!」

 大声と床を踏みならす音がホールに響き渡る。あ、ダメなんですね。


「なんで!? シータは王宮で勝手にさらわれて再登場するシナリオにないのに!」

 タミラが鬼の形相でシータを睨んでくる。

 ん? シータのことしってるの?


「なぜそんなことをするのかな、タミラ?」


 剣を下ろしたロレンツォさんが静かに訊いてくる。相変わらずの笑顔だ。怖い。


「だって、兄さんが勝てばロレ様が死んじゃうし、ロレ様が勝てば私は辺境伯令嬢じゃなくなっちゃう! どちらにせよ私はロレ様と結ばれない! ガルネーの領地をあの方にさしだして兄さん! そうすればせめて愛人ルートに入れるわ!」


 ……あれ? 私とクラスの皆は異世界に転移したんだよね? この世界ならロレンツォさんの愛称はエンツォだよね、ロレ様ってなんか……ゲームっぽくない?

 

 そう考えると、タミラの言ってる内容ってラノベの悪役令嬢が言いそうなセリフじゃないの? ここってそういう世界? 

 でも私達はゲームって言われてない。やば、理解の範囲超えてる。


 そんなことをしているうちに領兵があっさりユダとタミラを捕まえていた。二人とも後ろ手に手錠をかけられている。領兵って優秀ー。


「なんてことをしてくれたんだタミラ!」

 ちょっと現実逃避しているうちに、怒りで顔をどす黒くしたユダがタミラにくってかかっている。


「だって領地をさしだせば……」

 こっちは泣きながら引きつった笑いを浮かべている。二人ともすごい顔だけど、あれって元に戻るのかな。


「お前は何を学んできたんだ! 決闘を邪魔すれば家族の領地は没収だ。領地はお前が差し出したいロレンツォじゃなくて国家がもっていくんだよ!」

 おぉ……決闘って結構繊細なのね。気をつけよう。


「ロレ様ぁ! さっきいってくださったじゃないですかぁ! 愛を注いで生きるって! 子爵ならこのわけのわからない兵隊に命令できるでしょ!」

 

 この流れでその筋はないでしょう。ゲームに慣れ親しんでるなら気づかないのかなぁこの娘?


 ん? 地震? なんか足下がちょっとゆれ……あれ、なんか身体が地面にひっぱられてる?

 地面を見て、前を見る。あれ? 領兵いつのまに包囲解いたの? ロレンツォさんは……


 (こわ! ロレンツォさん目こわぁ!)


 やばいやばいやばいって! 周りの人みんな恐怖で膝付いてる。え? シータ? 膝つくまねをしろ? なるほど、了解。

 領兵も数人残して膝付きかけてるしね。

 当然ユダ兄妹は仲良く土下座している。そりゃね。こんな殺気だか高貴なる威圧だかを正面から当てられたらね。


「おろかすぎる。私は愛に生きると言っただろう。その愛が自分に向けられているとなぜ盲信したのか。私が愛しているのはシータ=イ=ハサだ。彼女こそ我が愛を注ぐべき器。兄の野心を利用し、孫を想う祖父の気持ちを利用し殺害した女を誰が愛するというのか」


 シータがしずしずとロレンツォさんのもとへ向かい寄り添う。二人の身長差もあってとっても絵になる、けどこわぁ! よくシータ産平気だね、心の中いかつ過ぎ!


「だってぇ……シナリオ……」


 まだ現実みないのか。こっちも結構いかついな。さすが推定日本人。


「領兵、職務を果たせ」

 ロレンツォさんの声にしたがって、立っていた領兵達がユダ兄妹を連れて行った。



 これは終わったのかな。周りの人達もまだ怖がってるけど立ち上がっていくし。私も——


「——ガブリエラ! 二人を殺せ!」


「(強化!)」


——ギャリッ!


 歩きかけていたからかろうじて振り返ることができた。盾で受け流したのは立派なツヴァイハンダー。


 はいフラグでしたぁ!



補足すると、

1.タミラが下克上ルートを兄ユダに教えます

2.魔族に砦を襲撃させたユダが「シータ様を人質にとられ反撃できない」と辺境伯に伝令を飛ばす

3.罠とは思いつつ愛孫のシータの確認に自ら向かう辺境伯>死亡


です。えぐ。悪役令嬢って、大体自分のこと悪役と思っていないですよね。

(訂正:悪役令嬢→主人公ヒロイン)



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