17話 叙爵パーティ
首都メノスは辺境伯が住む館は北側の城壁と一体化して建てられている……って初めて知ったよ。
領軍の賞罰の場としても使うからか、吹き抜けの広間は華美とも堅実とも言えない空間になっている。
教会の聖堂のように柱とドームで高い天井がつくられ、天井はシンプル、柱の彫刻も無し。
その一方で壁は凝ったパターンがえがかれている。
テーブルの上にはシンプルながら、種類豊富な料理が並ぶ。
食べたい! けど主要貴族はこの後別室で正式な晩餐をとる。その場合侍女もおこぼれをいただける。ここは我慢だ。
私が料理を前に行ったり来たりしていると、地方貴族達が笑いながら腹の探り合いをするそばを通り抜けてシータが戻ってきた。
「妹君のタミラ様がもうすぐ来られます」
「わかりました。頃合いですね。ユダ=デ=ガルネー子爵に挨拶をしに行きましょう」
タミラって人を待ってたのか。どおりでユダに挨拶もせず女の子達の相手してると思ったよ。
それ以前にあんなに次々女の子が来る状況について行けなかったけどね!
ロレンツォさんが談笑する一団になんのためらいもなく滑り込んでいった。
さすが貴族。お互い顔をみただけで名前と上下関係が判断できるんだね。
シータと私はお付きの侍女として後ろで他の貴族の従者に並ぶ。結構帯剣している侍女も多いから目立たない。
「失礼、本日はロレンツォ=デ=ジェローナ、ガルネー卿が正式に北方辺境伯に封ぜられたと聞きおよび参りました。ガルネー辺境伯の仁徳あればこそ今日のメノスがあるのです。叙爵は当然のこととはいえ、改めてお祝い申し上げます」
うわ、舌が回る回る。この人ぜった御前会議とかで主導権握るタイプだよ。
「おおジェローナ子爵、こんな北方の辺境まで来ていただいて光栄です。魔王領の視察から南方に戻られたついで、というところですかな?」
たじろぎつつユダさんは癖のある黒髪を後ろになでつけた。
わざと子爵と呼んでマウンティングしたり、主要街道の南方を引き合いに出したり、小物っぷりがすごい。
この人ほんとに魔族と渡り合って辺境伯殺したのかな。護衛が付いてるっていってたけど、こう人が多くちゃわからないよ。
「いいえ、視察のついでなどでは……今後魔王領との物流が増えれば南方だけではなくこちらの古道を利用する商人も多くなるでしょう。今のうちに旧交を温めておきたい、そういうことですよ」
少し悪そうな顔をしながらシャンパングラスを傾けるロレンツォさん、大変絵になっております。
「なるほど、私もロレンツォ卿とはよしみを結びたかったのですが、勇者クランに入ってしまわれた。今”元”勇者は行方知れずですが、どこで何をしているのでしょうな」
散々追い回していた一派がよくいうよ。おかげでアルマと再会できたから私は感謝してるけどね。
「さあ。彼がおこなった罪は計り知れない。どれだけ文明が後退するのか彼はろくにわからぬまま、魔王城の柱と同じ感覚で切り倒したのでしょう」
ロレンツォさんが憎しみを込めて紡ぐ言葉は、これが演技なのだろうか? と疑ってしまうほどだ。誰も理由をしらない、知らされないから、仲間でも不安になる。
…………アルマは、なんでそんなことしたんだろう。
漸くメインシーン。ここからが本番!
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