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第2話  暗黒の中で

突然、足元から生まれた暗闇にフェリクスは包まれて、直ぐにその暗闇もその場から消えた。


「ここは・・」


フェリクスが闇に包まれて、次に目を開けた光景は完全なる暗闇だった。


完全に視覚がない中、フェリクスは腰の刀を振り抜く。


振った刀に何かに当たった衝撃が伝わるが、そのまま後ろに飛ぶ。視界がゼロの状態で何かが分からないものが飛んでくる。


(ここはどこだ。あの爺さんの仕業だろうが、こんな魔法聞いたことがない。それに全く魔法の兆候が見えなかった。何者だ、あの爺さん)


取りあえず、ここから出なければ話にならないとフェリクスは思考し始めた。


「ブラックカーテン!学園長、何をしているんですか」


フェリクスを連れてきた受付嬢は驚きの余り声を出した。


「大丈夫じゃよ、彼を殺すようなことはせん」

「ですが、ブラックカーテンはやりすぎです」

「あの子の父親が望んだことじゃて、それにこれしき乗り越えて貰わんと、彼に特別入学する資格はない」


ブラックカーテン、古代の魔法にして、現代では学園長だけが使える空間魔法。それに囚われた者は術者が術を解くまで永遠の暗闇に囚われる。その空間の中では術者だけが囚われた者に攻撃できる。いわば一方的な虐殺だ。


「さて、彼はどうするかな」


気配を頼りに飛んでくる何かを撃ち落とし続けるフェリクスだが状況を段々掴んでいた。


(飛んできているのは恐らく、ナイフ一本だけ、撃ち落とした場所らへんを足で蹴って見たが何もなった。同じナイフが回収はされ、再度、投げられている。恐らくは、考える余裕を無くすためか)


フェリクスは魔法を飛ばして見たが空間がねじ曲がっているのか、自分の方に帰って来た。フェリクスはそれにより10メートル前後の空間に閉じ込められていることに気付いた。


(この程度の空間なら)


フェリクスは全身から魔力を全力で放出し始めた。魔力で空間を埋めていく。自分の魔力によりナイフの軌道は手に取るようにわかり、弾きもせず、掴み取った。


「そこだ」


フェリクスは自分の感覚を信じ、ナイフを投擲した。


「ぐ」


ナイフが到達した場所は、学園長の手平だった。学園長は咄嗟に魔法障壁を張ったので手に穴ができる事態にはならなかったが、思わず後ろに後退りした。


学園長の目の前にはナイフを投擲していた暗闇の穴がそのまま、存在していたが、その暗闇の穴が人が通れるほどに広がった。


「ふぅ、やっと出れた」


勿論、中から出えてきたのはフェリクス・クレソンだった。


「な」


受付嬢はまさか、ブラックカーテンからフェリクスが出てくるとは思っておらず、驚きの声を上げた。


「いい勉強になったよ。ご老人」

「儂はこれでも現役なのじゃが」

「それは失礼」

「では、事情を説明してもらいましょうか、恐らく、親父の差し金だと思いますが」

「突然すまんかったの、フェリクス君。大体、君の想像道理じゃ。儂は君の父親にそそのかされて君の力を試したのじゃ」

「でしょうね」

「これで君の力も証明できた。これで特別入学を許可することが出来るじゃて」

「特別入学?」


聞きなれない単語にフェリクスは首を傾げた。


「ホントに君の父親は何も知らせないまま、君をここに来させたみたいじゃな」

「確かに入学しろって言われてここに来ただけですが」

「本来なら、この学園の入試は1か月前に終わっとる。それを無理やり、君の父親が君を入学させてほしいと頼んできたのじゃ。本来なら断る所なのじゃが、彼には昔、大きな借りがあっての条件付きじゃが入学を認めたのじゃ」

「なるほど、それでさっきのが、その条件ってわけですか」

「少し、予想は裏切られたがの、君なら大歓迎じゃ。後は入寮手続きをしてもらって終わりじゃ、リズ」

「はい、学園長。改めて自己紹介をさせてもらいますね。私はリズ・ベルベット、学園の受付をしています。では、フェリクス君、私が寮にご案内します」


リズはそう言うと闘技場の外へ歩き出した。それにつれてフェリクスも後を追う。フェリクスは最後に学園長の方を向くと疑問になっていたことを学園長にぶつけた。


「最後に1つ、学園長、魔法の発動の兆候が全く感じられなかったのですが、何をしたのでしょうか」

「そこは自分で考えるべきじゃな、フェリクス君」

「なるほど、ご教示痛み入ります、学園長」


疑問は解決しないままであったがフェリクスは今後の学園生活に胸を躍らせた。


「手加減したとはいえ、初見でブラックカーテンを突破するか、末恐ろしい子供じゃて」


自分も子供の際、天才と言われたが、彼の才能には到底及ばんと学園長は身震いした。果たして彼はどこまでこの学園で成長することやら。



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