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第103話 魔法陣

フェリクスとしては、このまま、この国を去っても良かったのが、一番に気になったのは、異世界から召喚された人間だった。異世界の人間ということは、その異世界の情報を持っていると言うことだ。商人としての勘が、その情報に万金に値する価値があると言っていた。


しかも、警備で厄介だった信者たちは今、教会から出払っている。これならば、容易に侵入出来るだろう。


そうと決まれば、フェリクスはエクスが飛び出してきた穴にダイブした。土埃と共にフェリクスは地下の祠に到着した。


「さてと、エクス、呼び出された勇者が目の前の人物か、どうか、教えてくれるとありがたいんだけど」


フェリクスの言葉にエクスは少しだけ、顔を出した。


「おう、この目の前の小僧で合っているぜ」

「ありがと」

「このぐらいお安い御用だぜ」


確認が終わったエクスは直ぐに本の中に戻って行った。


「お、お前は誰なんだ?」


突然、現れたフェリクスに光は驚きながらも、質問をした。


「なんて、言えばいいんでしょうか。貴方望みを叶える取引をやりに来たと言えばいいでしょうか」

「悪魔の取引的な、なにか、なのか?」

「それは貴方が判断してください、私はあなたの情報が欲しいだけです。貴方は、何が望みですか?」


フェリクスの取引が光にとっては、信じられなかった。


「もしできるなら、俺を元の世界に返してほしい」

「貴方の望みがそれならば、叶えましょう」

「本当に、本当に帰れるのか」


フェリクスが叶えると言ったので、光は藁にも縋る気持ちで言葉を出した。


「取引した相手をがっかりさせた事はないので、期待して待っていて下さい」

「でも誰も帰れる話なんてしてくれなかったんだ」


光の目にはボロボロと涙が溜まってきた。


「一つ教えて欲しいんですけど、貴方が召喚された魔法陣があるはずなんですけど、その場所が何処か、分かりますか?」

「それなら、この地下の階にあると思います」

「場所を覚えているなら、案内してくれると有難いんですが」

「それなら、こっちです」


光はフェリクスを連れ、地下を案内した。召喚陣自体は、すぐに見つかった。しかし、そこにはしっかりと信者が2人、召喚陣を警備していた。


「2人ならいいか」


フェリクスが指を動かし、魔法陣を完成させると信者二人の周りに白い粉のようなものが漂い始めた。その粉が漂って、直ぐに信者たちは地面に倒れた。


「いったい何を?」

「魔法で眠らせただけなのでお気になさらず」


フェリクスは倒れた信者の事など気にせず、ずかずかと部屋に入って行った。


「また、ここで精霊語か」


部屋の一番の奥に描かれていた召喚陣は、精霊語だった。精霊語が地面に彫ってあり、そこで光は召喚されたのだ。


「かなり文字が擦れているな。何なら、少し欠けている?」


床に彫られている文字は時間の風化なのか、文字の一部が掛けていた。


「欠けているとどうなるんです?」

「通常の魔法であれば、正しく魔法が発動しないですし、暴発の危険もあるのでかなり危険ですね」

「そ、そうなんですね」

「これで魔法陣を見ることは出来たので、早くこの国から出ましょうか」

「国から出る、ですか?」

「はい、この転移結晶を砕けば、指定の場所まで転移することができます。これを使ってここを脱出します。」

「この世界にはそんな便利なものがあるんですね」

「まぁ、その分は魔力の消費が激しいんですが、まぁ、気にしないで下さい。さぁ、手を握って下さい」


少し大きめの転移結晶を取り出したフェリクスのもう片方の手を光が握るとフェリクスは転移結晶を砕いた。

ブックマークありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] おお? 魔法陣が欠けてたせいで、素質の低い人を拉致誘拐しちゃった感じ? それに気づかない時点で、教会には精霊語や魔法陣の知識人が居ないっぽいな。 これでまたこの商会の繁盛間違いなし! とい…
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