初日
4月10日 私立紅鎌原学園
「初めまして皆さん。私はこのクラスの担任 中江 真理亜。気軽にマリア先生と呼んでね。さて、皆さんは驚いたかしら? このクラスの人数の少なさを。このクラスは全員で19人しかいません。何故だか分かる? それは、皆さんが能力持ちだからよ。能力持ちについては、説明がいらないと思うけれど、一応しておくわね。能力とは、思春期の男女に一定数生まれる、そうね特殊な力の事よ。個人差でいつまで力が続くか分からないのも能力持ちに付いて回る問題だわ。その問題を解決するために生み出された案が、このクラス。つまり、1年蕾組は能力持ちしかいないクラスよ」
ざわざわと、動揺が教室内を走って回る。能力持ち? ふざけないでほしい、僕は能力持ちなんかじゃない。
「静かに! この中にはまだ能力を覚醒してない子もいるわ。勿論、覚醒した子もね。ここ、赤鎌原学園では、能力の発生及び消滅について全力でサポートします。これから3年間、宜しくね皆さん」
中江先生はそう伝えると、教室を出て行った。緊張感が解れたものの、このクラスが能力持ちしかいないということ、まだ覚醒していない者もいるが覚醒している者 もいるということ。
「ねぇ」
「は、はっい!」
「君はもう能力持ち?」
「い、いや……違う……けど」
「ふーん、私と同じだね。私、多田池 沙知」
「ぼっ僕は……米原。米原 薫」
「3年間宜しくね、米原君」
「うっうん……宜しく、多田池君」
これから、僕の3年間はどうなるのか。祈ることは、平和に過ごせますようにしかなかった。