空に咲く花
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
二人して馬鹿みたいな大声で騒ぐ。
高校生にもなって、こんなに堂々と騒げる機会なんて限られてるから、おもいっきり。
「うひゃー、綺麗だねー美咲ちゃん」
「うんうん、そうだよね結華ちゃん」
「こうしてると受験のことなんて忘れられるねー」
「ぐっ…折角忘れられてたのに…もしかしなくてもわざと?」
「さーどうでしょー?」
そうやって馬鹿な掛け合いをしながら、空で満開に咲き誇る花火に私たちは魅了されていた。
「あ、見てみて美咲ちゃん」
「ん?なになに」
「ほら、水面見てみなよ」
「うわぁ…すごいなぁ。逆さ花火…って言うのかな」
空に咲く花と川の水面に咲く花。
どちらも綺麗だけど、2つ並んでこそより魅力が際立つ。
「……」
「……」
私も美咲ちゃんも逆さ花火に魅了されてしまって、沈黙があたりに広がる。
聞こえてくるのは空で咲く花火の音だけ。
ふいに美咲ちゃんが口を開いた。
「…でも、私は空の花火のほうが好きだなー」
「え?どうして?」
「だって…」
そう言うが早いか美咲ちゃんは私にキスしてきた。
周りには公言できない、二人だけの秘め事。
「…ね?上向いてたほうがキスしやすいでしょ?」
「…全く、誰かに見られたらどうするつもりだったの?」
「大丈夫大丈夫。ここ隠れスポットだから人いないもん」
「むう…じゃあ、今度は私からね」
そう言って再び唇を重ね合わせる。
美咲ちゃんの顔が私のすぐ前にある、というか唇が触れ合っているということに思わず顔が熱くなるのがわかる。
心臓もドキドキとうるさくて、美咲ちゃんに聞こえちゃわないか心配になってくる。
あれだけ大きく聞こえていた花火の音も、なんだか遠くに聞こえる。
でも、不思議と心は落ち着いていて、とてもうれしい気持ちになってくる。
心が暖かくなって、知らず知らずのうちに口元が緩んでしまう。
「…来年も、一緒に来ようね」
「やーだ」
「えっ、もしかして美咲ちゃん私の事嫌い…?」
「冗談。…ずーっと一緒だから。来年だけじゃなくて、これからも」
悪い冗談に少しどきりとしてしまった。少しお返しをしても、バチは当たらないよね。
隣に座る美咲ちゃんの手をギュッと握ると、少し驚いたような顔をするけれど、そのうち同じようにギュッと握り返してくれる。
そこから伝わる温もりが、私の心を温めてくれる。
ずっとずっと一緒に。これからも二人でこの花火を見よう。
いつの日か死が二人を分かつまで。
今回はなんだか前作に比べて書き方を変えてみました。
地の文を減らしてセリフを多めに。
なんだかこっちの方が短編ぽくっていいのかな。
もっと更新早くしたいですね…頑張ります




