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死ぬ予定なので、後悔しないようにします。  作者: 千羊
第2章 幼少期~現在と過去編~
37/65

29 領内視察と学校

予約忘れてたぁぁぁ!!


短めです!

 市場に言った次の日から、ティファニアの領内視察は始まった。



 まずは領府へと足を運んだ。

 領府は領都ウルタリアの中心にある建物だった。そこでは領内の土地や戸籍、税収、領が経営している施設の管理、他にも警備隊の運行管理、職の斡旋などを行っている。

 ティファニアはラティスとともに馬車で領府に向かうと、まずは領主の執務室に向かった。もちろん領主はラティスであるので、本来はラティスの部屋なのだが、今は領主代理となったラティスの右腕、ジークが主に使っている。

 ティファニアたちが執務室に入ると、ジークと領府で重役についている領官たちが出迎えてくれた。


「旦那様、お待ちしておりました。お嬢様、お久しぶりです。ようこそ、ウルタリア領府へ。ここにいる皆が、お嬢様がいついらっしゃるのかを首を長くしてお待ちしておりました」


 ジークは歓迎の言葉を述べると、ティファニアたちに席を勧めた。


「皆さま、初めまして。ラティス・ウルタリアの娘、ティファニア・ウルタリアですわ」


 ティファニアが自己紹介をすると、ジークによって参加している領官を紹介してもらった。

 それから、朝の会議が始まる。

 領官たちから視線があったが、ティファニアは元々授業参観のように普段の様子を見たかったので、そのまま続けてもらった。

 報告される事項は街道の整備状況、領都での昨日の警備隊の活動状況、領内での就業率、最近新しくできたばかりの高等学校のことなどだ。それについて、問題点があれば話し合ったり、今後の方針について検討している。

 ラティスは会議に参加したが、ティファニアはその横でじっと内容を聞き続けていた。この救済案はティファニアの発案であるが、施行後はすべて丸投げしてしまったため、ティファニアの出る幕はほとんどない。しかし、現場ではどのように動いているのかを自分の目で確かめられただけで満足である。

 ついでに、初めて仕事中のラティスを見れたので、いつも知らない一面が見れてティファニアはうれしそうに笑った。


 会議が終わると、ティファニアは領府の中を見て回った。

 ティファニアが改革案を提示したことは領府の上層部しか知らないため、平の領官たちには初めて来た領府の見学と説明して、自由に歩き回らせてもらった。

 元々ラティスの治世は良かった。それに加え、改革案でもっと領内が安定した。その提案をした領主の娘、ということだけでもティファニアは好かれていたが、領府をとてとてと歩く愛らしい姿はすれ違う領官たちを魅了したようだ。そして、立ち寄った部署で歓迎を受け、嬉しそうに笑う様子はまるで天使のごとき可愛さであった。


 しかし、可愛さだけでない。

 ティファニアは寄ったそれぞれの部署で改善案をぽろっと零していくのだ。

 例えば、教育を担当している部署では子供たちに九九を覚えさせることに悩んでいたところに、表を教室に貼り出し、歌にしてはどうかと言い、職の斡旋をしている部署では休みがない職場に悩んでいる領民への対策に、実際に労働基準法を作って、規定を定めてはどうかと言った。

 些細なことばかりだが、それらは大いに役立った。


 領府に勤める領官の心をずどんと射止めたようで、その後何度か領府を訪ねたティファニアは瞬く間に領官の中でアイドル的存在になったのだ。

 それについて、ラティスがティファニアを取られたと少しだけ拗ねたのはまた別の話だ。



 ティファニアの領内視察は希望通り、港町の貿易の様子、街道の整備の状況、警備隊の運行状況を確かめ、終わった。

 もともとラティスが領内を見て回る予定だったため、それに同行させてもらっただけだが、報告書の上の数字や文字だけでなく、実際にどう人が動いているのかを見ることができた。そこにいた領民たちの働く姿や頑張る姿、そして、笑顔が見れた。それだけで、ティファニアは十分だった。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇







「うふふ、どうかな?」


 ティファニアは嬉しそうにくるりと鏡の前で一回転した。モスグリーンのひざ丈のスカートがふわりと舞い、白いタイツで覆われたティファニアの柔らかそうな太ももをちらりと覗かせる。


「お嬢様、とてもお似合いですわ!!」


 アリッサはくるくると鏡の前で回るティファニアを褒めちぎった。今のティファニアは上半身には薄い桜色のシンプルなブラウス、首には黒のチョーカー、髪は白のリボンでハーフアップになっていた。

 服はティファニアを深窓の令嬢のように見せ、黒のチョーカーはティファニアの白い肌を一層引き立てた。その雰囲気は町に住む商人の娘のような服装にしても一目で人を惹きつける。


「ほんと? 他の子から浮かないといいんだけど…」


 ティファニアはふわふわのスカートをちょこんとつまむと、心配そうに言った。

 これからティファニアは学校の見学に行くのだ。それも無理やり体験入学というのを作らせて、4日間だけお忍びで授業に参加する。周りにはもちろん貴族はおらず、下町に住む子供たちも多くいるのだ。その中で授業を受けるには、浮かれるような服装は避けたい。そう思ってアリッサに選んでもらった服だが、ラティスと同じく、容姿が整ったティファニアが着ると、どんな服でも様になってしまうのだから困りものだ。


「お嬢様、お嬢様の可愛らしさはどんな服を着ても隠しようがございませんわ。これより質の悪いものを着てしまいますと、逆に服が浮いてしまいます」

「うーん、そうかな…?」


 自分が容姿端麗という自覚がないティファニアはこてんと首を傾げた。

 それもそうだろう。ティファニアの周りには見目麗しい攻略対象者ばかりなのだ。それに加え、眉目秀麗のラティスやシャルルの父親アルベルト、そして、カマリアネス伯爵のエトヴィン。従兄弟のヴァルデマールたちも美人であるライトリアに似て、見栄えのある顔だ。

 卑下しているわけではないが、そんな中に囲まれているからか、ティファニアはヒロインとほとんど同じ容姿をしていることを忘れ、自分は極々平凡な容姿だと思っているのだ。

 それを知っているアリッサは、少し苦笑いしてしまう。


「ええ、そうですわ。ですから、今回はこちらにいたしましょう」

「うん、わかった。華美過ぎなくて可愛いからいっか」


 時間がないからとティファニアは納得し、麻の布で作られたショルダーバッグを肩にかけた。そして、一緒に行きたかったと拗ねるティリアと別れると、いそいそと馬車に乗った。

 向かう先は領都にある領立小学校だ。

どこまで書こうか悩みに悩んで、結局さらりと済ませちゃいました。

領内のことはもっと詳しく考えているのですが、いつか閑話とかで上げられたらと思います。


蛇足。

ティリア、拗ねる ぱーと1

「お姉さま、ぼくもがっこういきたい!!」

「えっ!? リア、突然どうしたの?」

「だって、せっかくお姉さまとひさしぶりに会えたのに、お姉さま、いそがしいんだもん…」

「リア……!(リア、可愛い!!)」

「ぼくだって、お姉さまといっしょにしさつにいきたいけど、お父様がダメっていうし、帰ってくるのもおそいじゃん! ぼくひとりでおるすばんはもうやだよ……」

「リア、ごめんね。でも、学校は6歳からだから、リアにはまだ無理なんだ…」

「でも、ぼく、お姉さまといっしょにいたいです」

「うーん、リア、忙しい時でなかったら、なんでもお願い聞いてあげるよ。わたしにできる範囲だけどね」

「じゃあ、学校に――……」

「それは無理かな」

「むー、じゃあ、今日は一緒にねたいです。お姉さまと同じベッドでねたい!」

「うーん、どうだろう(貴族として弟と寝るのっていいのかな…?)」

「お父様とはここまで来る道でいつもいっしょだったんだよね? じゃあ、ぼくもいいでしょ?」

「(そっか、お父様と一緒に寝てるから大丈夫だよね)うん、一緒に寝るくらいは大丈夫、か」

「ほんと!? じゃあ、一緒におふろもはいろ?」

「(貴族として大丈夫なのかな…? まあ、家族だし、子供だからいっか)いいよ。今日は一緒にお風呂入って、寝ようか。ねっ?」

「うん!!(これで、シャル兄様より少しだけ勝った!!)」


大きい望みを出して、そのあと本命の望みを叶える。

段々、純粋ティリアは計算高いティリアに変わっていきます。(そうでないと、シャルルとティファニアを出し抜けないから)

珍しく拗ねたり、わがままを言うからついつい聞いちゃうティファニア。

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