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パズルに愛を込めて

パズルに愛を込めて


「臨時刊行?」

「そうだ。」

朝から急に呼び出されたオレは、編集長の言葉に目を丸くした。あいもかわらず編集長はしかめた顔をしていたが、最近その、春男に対するいやいや度が減ってきているような気がするのはオレだけらしい。

「前回の作品が良かったらしい。……世の中、間違っとるがな!」

編集長はお茶をすすりながら静かに怒りを込めて、言った。

「……。あれがですかぁ?いや、話は面白かったんですけど。」

珍しくオレの方が顔をしかめた。


それは半年ほど溯ったある日のことだった。春男の部屋で、作品が出来上がっていくのを待っていると、ふいに春男が聞いた。

「あのさ、出版社って印刷にどれくらい費用、かけられるの?」

「は?」

「いや、ほら、色を増やすと高くなるんだろう?」

「そりゃな。」

「あれって作家が払うからやってくれって言ったらやってくれるのかな?」

「お前は無理だ。」

「なんで?」

「人気作家ならまだしもお前じゃな……。」

「そうかぁ……。」

話はそこまでだった。話は嘘ではない。春男は色を印刷できるほど、金をもらっていないし、売れてもいないのだ。オレは不安になって、その日にもらった作品をよく読んだが、そこにはパズルのパの字も入っていなかった。いつものただの質問なのだろうと、オレはほっておいた。

あのあとどうしてもっと詳しく聞いておかなかったのかと、後からかなり、落ち込んだものだ。春男の言うことに油断は禁物、あれだけ、痛い目に合っているというのにだ。


それからしばらくしてある物が売られた。

それは、他社の趣味別に分けられている雑誌で紹介されていた。

『作家パズルデビュー!!!』

パズルを完成させるとショートショートの物語が読めるとのことだ。

そしてそのページには春男の写真はないものの、コメントがのっていたのだ。パズルに、使われた絵や画家のことも載っている。

「どういうことかな?」

編集長ににこやかに聞かれてオレは言葉につまった。そのときの編集長は、怒っている時よりも青筋が立っていたと、のちに同僚は言ったくらいだった。

オレは本当に、ひさしぶりに春男の家まで走った。

「春男!」

「やぁ。なんだい、慌てて。」

「なんだよ、これ!」

 オレはその記事を春男の顔の前まで持っていった。

「あ。よく気がついたねぇ。」

春男はあくまでも、のんき者だった。

「気がついたねぇ、じゃないだろ。どうしたんだよ。」

「いやぁ、僕の友人がね、その記事を書いてるんだ。」

「このパズルのか?」


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