春男の夢(2)
「呪いねぇ。……薬嫌いなの?」
オレは首を振った。
「いえ、花粉に負けるような気がするから飲まないだけです。春男の件ですけれど、……一応電話してみますよ。だぶん、直接本人に会ったほうが早いと思いますからね。……あ、春男?おれだけど。うん、実はマキさんの取材がてらお前に会いたい人が……うん、いる……あー。」
オレは彼女の服装を見た。
「あースカートだね。変わる?ちょい待ち。」
「はい。」
オレは携帯を差し出した。
「え?」
「変わってくれって。」
「もしもしお電話かわりました、私辻村と申します。あの……はい、いや……それは……ええ。……え?もしもし?!もしもし!切られた!ちょっとこの人どういう人よ!なんでスカートじゃダメなのよ!」
オレは説明した。
「あいつの家、よく荷物が届くんですけど、置くところがなくて、玄関先におきっぱなしになっているんです。それで、その荷物をまたがなきゃいけないので……。」
「あたし、明日パンツにしていくわ。ダメっていっても佐々木君のストーカーになってでも会うから!」
どうも、オレの説明に納得できなかったのか、彼女は俄然、やる気になったようだ。
「そんなことしなくても、会うだけならいつでも平気だと思いますけど……。」
オレは苦笑した。
編集長の抵抗もむなしく?結局、オレは彼女は翌日の夕方、春男の家に向かうことになった。
「春男ー。」
「やぁ、いらっしゃい。」
にこにこと春男は笑っていた。
「はじめまして。雑誌の担当の辻村 秀子です。お母様のマキさんの担当をさせていただいています。」
「どうも。きゅうり好き?」
「え、えーと、はい。」
彼女は急に聞かれて戸惑ったようだ。出した名刺も、そのまま手が止まった。春男は名刺が差し出されたことにも気がつかなかったようだ。
「春男、名刺。」
「ん?ああ、どうも。どうぞ。がんばってね。」
たしかに、これで、スカートなら大変そうだ。彼女は宣言どうり、パンツで来ており、らくらくとはいかなかったが、荷物をよけることには成功した。
部屋の奥に行くと、まだ荷物がある。
「きゅうり?またマキさんからおくられてきたのか?」
「いや、田舎から。」
「そうか。」
オレはほっと胸をなでおろした。田舎なら、そんなに送ってくる事も・・・・・・。と、思ったのが甘かった。よーくみると、ダンボールが一つ。大きいサイズだ。
「おい、まさか、それ、全部きゅうりとか言わないよな?」
「言う。」
「えええ、あ、ほんとだ。」
秀子も覗き込んで目を丸くしている。
「大量に出来たらしい。」
「普通、近所におすそ分けとかじゃないないんですか?」
「おすそ分けしたら、お返しがくるでしょう?その付き合いが面倒なんだって。」




