気配
男は、ふと、本当になんとなくふと立ち止まると、何か気配を感じた。
そこで、なんとなしに振り向いた。
ここは繁華街を少し逸れた、閑静な住宅街。
点々と聳える街灯の明かりには何の変化も無く、人どころか動物さえも居なかった。
「それにしても静かだな」
残業したせいで帰るのが大分遅くなってしまった。
寝不足のせいだろう。気のせいだ。
そう思い男はまた歩き出した。
「今日の観察、終わりました。お先でーす」
新入女性社員がそう言って足早に帰る準備をしている。
今日は誕生日で、彼氏とデートらしい。羨ましい物だ。
しかし、俺はこの仕事に価値を見出していて、特に不満は無い。
内容はよくわからない物であるが、別に金を貰えるなら気にしない。
だが、今日は少しひやっとした。
ある設定で増殖し続けるようプログラムされた人工知能を、ずっっとコンピューターで観察するだけなんだか、条件はただ一つ。この知能にバレない事である。
それが今回はボーナス狙いで近づき過ぎた。一瞬バレそうになったのだ。
この時ばかりはこのプログラムが1秒刻みで良かったと、心底思った。
さすがはこのプログラム。逃げるのは超簡単だった。ちゃちゃっと時間を止めて避難するだけ。楽だった。
そういえば、このプログラムが設定されてもうすぐ、このプログラム換算で138億年か。まあ、俺らでいう1年だけど。
おや、もう朝を迎えたのか。
次はもっとバレないようにしないとな。
Thank You For Yur Time!
振り返ると誰もいない
をテーマに書いてみました。
パッと思いついた奴でして、お気に召したなら幸いです。
お願い
僕は大阪人で大阪弁で喋ります。もし、変な事な言葉がありましたら、御手数ですが、ご連絡ください。その他ご意見ご感想、誤字脱字、文法の誤りなど指摘がございましたら、どうぞお気軽にどうぞ。
自分なりの解説
これはシンプル目ですね。
プログラムは宇宙の事で、バレそうになったのは冒頭の場面
つまり、誰にでもあるような「誰かいる?」は、本当に誰かがいて、それに我々は気付かないだけ、と。
もしかしたらみなさんも見つける事ができるかもしれません。
最後までご精読ありがとうございます。