天国の扉
第三次世界大戦で核で汚染された世界の天空には扉があった。
誰もがそれを天国の扉と信じて疑わなかった。
あの世は誰もかもが恐れるものだ、検証する者もいなかった。
検証する方法も何もなかった。
僕はそんな世の中の風潮の中、天の扉を目指した。
あがいても届かないからこそ、目指す価値があった。
人々は僕を見て笑った。
死に急ぐことはない、人生はまだあるからと、
箱を積み上げて梯子を伸ばして、
一日一日進んでいった。
やがて、地上さえ見えないほど世界を見渡すほどに高い場所に来た。
世界の果て、青い世界。
扉に手をかける。
そのドアノブにしがみつき、
開いた。
その世界から差し伸べられる手。
崩れる踏み台。
掴む手。
その空間に僕はたどり着いた。
目の前には知らない人。
「始めに誰が来るか楽しみだった。」
驚いたのは自分と同じ言葉をしゃべったことだった。
「ここは何なんですか?」
自分と同じ人種のような顔。
それはこう喋った…
「君のいた世界は一種のビオトープなんだよ」
静かに語る男は目をつぶってはっきり言った。
「ビオトープ?」
「外の世界は汚染されてしまって、この世界だけはきれいにしようと人は思った。」
よく見るとこの部屋には下の世界の映像が映っている。
「汚染?下の世界はきれい?いったい?」
「実はね、下の世界はユートピアなんだよ汚染されてなんかいない。」
男は扉を閉めつつ言った。
「そこでだね…」
空気が変わった。男が僕をまっすぐ見つめた。
「なんです?」
張りつめた空気の中で僕は言った。
「君には2つに一つ選んでもらわないといけない」
「何を?」
感じたままに僕の声がすぐに出る。
「ここでのことを黙って下の世界で生きるか」
右手を空気を押し上げたように挙げる
「それとも」
右手を見てから僕を横目で見る
「汚染された外の世界に出るか?」
左手を押し上げる
二つに一つ…か。
「困惑しているのかね」
確かに少しは困惑しているのかもしれないが…
「僕は決めました」
最初から決まっていたのかもしれない。
ここに来た目的こそがそうなのだから…