ココアの一日
我輩は猫である。名前はココアと言う。
ご主人様に名付けて貰った名だが、そのまますぎる思う。
なぜなら、私の毛がココアの様な白みがかった茶色なのだ。
なので『ココア』となったのだ。
・・・まぁ、不満も無いのでこれでいいとも思う。
さて、今日はそんな我輩の一日をお見せしよう。
まず、我輩の朝は一度起きた後の二度寝から始まる。
朝の空気を肺に目一杯吸い込み、伸びと一緒に吐き出す。
そうして朝のまどろみをゆっくりと感じながら二度寝するのである。
そうして、太陽が真上に上る頃に我輩は起きて活動するのだ。
本能に忠実に鳴るお腹を満たすためにまずは台所へ行く。
・・・ムムッ!ご飯が用意されてない!
ご主人様は朝忙しい為、稀にご飯を用意し忘れるのだ。
ふむ、仕方が無い。無ければ調達するまでだ!
「ニァ~」
「おっ!久しぶりだな~元気にしてたか~?」
クーキュルル・・・
返事のかわりにお腹がなる。
「ははっなんだ、また食いっぱぐれて腹が減ってるのか?」
そう言いながらご飯をくれるのが、我輩の非常食・・・もとい、魚屋の主人である。
主人と初めて出会ったのは今日みたいに食事が用意されておらず、あても無くこの辺りを歩いていた時である。どこからかいい匂いが漂っており、その匂いを辿るとこの店についたのである。
以来、吾輩は今回のように食事されて無かったり、暇な時などはよくここに来るのである。
ふむ、こんな事を考えている間にいつの間にかご飯を食べ終えてしまった。と言うことで・・・
「ニァ~オ」
「ん?なんだもう食い終わるなんてそんな腹が減ってたのか?
で、今度は喉が渇いたんだろ?」
そう言って水をくれる優しい主人は、さすが吾輩の事をよく分かっている。
「ニァッ♪」一言鳴いて水を飲む。
飲み終えると店の日陰へと行く。何をしに行くかと言うと『仕事』である。
まぁ、吾輩は寝てるだけであるが・・・。
「あっ!ネコちゃんだー♪可愛いー!」
ふむ、早速人が釣れたな。我輩の仕事とは用は客引きである。
そして人が来ると主人が巧みに魚を売っていくのである。
この様に寝てるだけで釣れるのだから、簡単なものである。
「ありがとうございあっしたー!!
・・・ふぅ~ 流石お前が居るとよく人くるなぁ~」
と、一息ついた主人がそんな事を言う。なかなか嬉しい事を言ってくれるが我輩はそろそろ帰らねばならんな。
「ニャ~オ」
「ん?あーそうかそろそろ日暮れかぁ~しゃーねぇな。」
そう言って名残惜しそうに主人は笑っていた。
我輩も名残惜しいが仕方がない。ご主人様も待ってるであろうしな。
我が家に帰宅すると案の定、ご主人様が部屋のソファーで寝転んでいた。
こちらに気付いたらしく
「あーお帰り~。ごめんね~朝ご飯わすれちゃってー。ま、なんとかなったかな?ココアは賢いしね~」
なんて言ってきた。確かになんとかなったがこれはどうなんだろう?と思い
「ニャー!」抗議してみる。するとご主人様は
「アハハ、ごめんごめん。次は気をつけるから許してよ。ね?」
と明るく言うのである。
・・・まったく、本当に次はあるのやらないのやら
この適当さがご主人様だと思うあたり我輩も馴れてきたのだと思うと悲しくなるが
まぁ悪くない、それがご主人様でこれが我輩なのだから
これが我輩の一日で、一生なのだから。
《注意?》
こんな猫をみかけたら、直ぐに夢だと思いましょう!
・・・嘘です。でも実際、こんな賢い猫はいませんよねぇ?