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第四話 誠VS最強チンピラ

今回はほぼギャグです。


「気をつけろ。モブでも強いやつはいる」


元異世界の騎士より


★★★★★★★★


第四話 誠VS最強チンピラ


誠の目の前に現れた騎士アリス。彼女は剣を抜き放ち、一気にチンピラたちに斬りかかった。


「やべぇ! 兄貴~」


「暴力反対~!」


背の低い二人のチンピラは持っていたナイフを手放し、全速力で逃げ出した。そして大男の後ろに隠れる。大男はアリスの前に立ち塞がった。


「俺は強いぜ……」


大男は低く渋い声でアリスに言った。さらに後ろの二人が付け加える。


「兄貴は本当に強いんだぜ」


「ああ、兄貴はチンピラを超えたチンピラ、超チンピラなんだからな……」


どこかの戦闘民族みたいだが所詮チンピラ。弱いだろうと誠は思った。誠がそんなチンピラたちに呆れている間に、アリスはかっこよく宣言する。


「強かろうと弱かろうと関係ない! 悪い奴らは倒すだけだ!」


アリスは剣先を大男に向けた。白銀の刃が陽光を反射し煌めく。大男はにやにや下品な笑いを浮かべていた。


「行くぞ!」


アリスが気迫と共に斬り込む。剣が真っすぐに放たれた。大男の目つきが一瞬にして変わる。大男は腹に向かってくる剣を無駄のない動きで回避した。アリスは必中と思った攻撃がかわされたことで体勢を崩した。大男はそんなアリスの背中に拳を放つ。

ドスンと鈍い音。それが辺りに響き渡った。アリスの身体が崩れ落ちる。


「兄貴~! さすがっす」


「やっぱ兄貴は最強でやんす!」


倒れたアリスを見て大喜びする子分たち。それを見て大男もまた大笑いする。


「さ~て次はお前だ」


大男が誠を睨む。誠は一歩後ずさった。そして逃げ道がないのかキョロキョロと見回す。


「逃げようとしても無駄だぜ?」


大男が逃げようとする誠に告げる。誠はここにきてようやく怖いと思った。さっきまでチンピラごとき倒せると思っていた。しかしアリスを倒したそのあまりに意外な強さ。誠は大男に勝てるかどうか不安に思っていたのだ。


「チンピラのくせに強いなんていじめか! でもこうなりゃしかたない!」


誠は半ばやけになって大男に殴りかかる。フォームは無茶苦茶、隙だらけだ。しかしスピードは速い。大男は少しヒヤリとした。が、誠の拳を回避して、さらにがら空きとなっていた誠の腹を殴る。だが……


「い、痛てぇ~! どんな身体してやがるんだ!」


突然鉄の塊を殴ったような激痛が大男の手を襲った。大男が見てみると紫色になり腫れ上がっている。それに対して誠の腹はどうにもなっていない。


「うわぁ……。本格的にどうかしてるぞ俺の身体」


誠自身も頑丈過ぎる己の身体に大いにビビる。そのため誠の動きがしばし止まった。


「あいつ強すぎるぜ。今のうちにずらかるぞ」


「へい兄貴!」


 チンピラたちは誠が止まっているうちにしのび足で逃げ出していく。そしてあともう少しで逃げられる距離まで来た。


「ちょっと待て! 逃げるんじゃない!」


誠はチンピラたちが逃げ出していることに気がついた。そして呼び留める。チンピラたちはぎこちない動きで後ろを振り向いた。そして日本人もビックリの見事なまでの土下座を披露する。


「すいません、すいません、すいません……」


チンピラたちはエンドレスで謝り始めた。誠は怒る気も失せて戸惑う。

そうしているうちに後ろから少女の声がした。


「痛たた……おお! 協力感謝するぞ」


アリスは誠が三人を平伏させているのを見て、腕に手錠のような物をかけた。そして、三人をどこかに連行しようとする。


「この礼はいつかするからな。君、名は何と言う?」


「誠です。あの、ちょっといいですか?」


「なんだ? 言ってみなさい」


「実は……」


誠は自分が迷子であることを告げた。アリスは呆れたような顔をしながらも、店までの道を案内する。こうしてようやく誠はミラの店まで帰ったのだった。


★★★★★★★★


「遅いなあ思ってたら騎士と一緒に帰ってくるやなんて……。私の想像を超えすぎやで!」


「まあまあ、そう怒るな。誠がいなかったら私は大変なことになっていた」


ミラの店の前。ミラが帰りの遅かった誠を怒るのを、アリスが上手くなだめようとしていた。だがそれは逆効果だったようだ。


「いや、だいたいあんたがチンピラなんかに負けること事態がありえんやろ! 騎士やったらそんな連中ぐらいバシッと倒しや!」


 ミラが強烈な言葉を放った。それを聞いたアリスの顔が曇る。そして地面にしゃがみ込んだ。


「そうだよな……。私が弱いからいけないんだよな……。それに私がイタいこともそもそもダメなんだよな……」


アリスは地面に文字を書きながらつぶやき始める。怪しい雰囲気があたりを漂う。


「あかん、呪われそうや。誠、店の奥へ行くで」


「ああ、祟られそうで怖すぎる」


誠とミラは店の奥へ引っ込んだ。店の前にはアリスだけが取り残された。アリスは一人つぶやき続ける。

これによってこの日の売上がほぼ無しになったことは言うまでもない……。



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