第9話:2日目、8:00 一夜明けて
・称号《1日目生存者》獲得。
:世界改変を1日生き残ったお前たちに、褒美を与える。
どうか、生き延びてくれ。
:ポイント5000、全能力+1獲得。
・称号《万に及ぶ魔物殺し》獲得。
:自ら望んで万の屍を築いた証。
お前は修羅道に堕ちるだろう。
お前の道の先には、終わりなき闘争が待っている。
:ポイント100000、全能力+10、スキル《頑強》、《持久》《疲労耐性+2》《飢餓耐性+2》獲得。
・称号《人斬り》獲得。
:人/亜人に対して、攻撃力+20%、命中・回避・クリティカル率+10%。
・称号《人修羅》獲得。
:人のまま修羅道に堕ちた存在。
お前は人の心を忘れ人のまま鬼へと相成った。戦い続ける呪われた業からは逃れられない。
しかし、それでもお前は人なのだ。
その事実は誰にも否定できない。否定などさせない。
:全能力+10、スキル《修羅の血潮》、スキル《業鬼》、スキル《鬼の剛体》、ポイント100000獲得。
・称号《屍山血河》獲得。
:お前はこれからも屍を山のように積み上げ、敵の血が河のように流れるだろう。
その道を選んだのはお前自身だ。
それによって救われた命が数多ある事実は、誰にも否定できない。否定などさせない。
お前はこれから幾多の強敵と対峙し、困難に直面するだろう。
その道を斬り拓く力を授ける。
:全能力+10、スキル《貫通》、《食いしばり》、ポイント1000000獲得。
・鋼のナタ 50ポイント
:攻撃力+12
進化↓
・修羅のナタ
:最大HP+20、力+10、体力+15、命中率+5%、クリティカル率+10%、特効・人/亜人4、特効・悪魔2、特効・霊体2。
・鋼の手斧 50ポイント
:攻撃力+15、命中率−5%
進化↓
・羅刹のオノ
:最大HP+20、力+15、体力+10、回避率+5%、クリティカル率+10%、特効・人/亜人6、特効・鬼2、霊体斬り。
朝日が差し、日が昇る。
E-フォンの操作と大量のポイント消費により《拠点》と化した自宅にいるはずの3人から連絡が途絶えてからは、自分で情報を集めて精査するという面倒な作業をする必要があり、サーチ&デストロイに切り替え進む先にいるバケモノ……正式には魔物というらしい……退治をしながらドロップアイテムを集める作業と、放置車両をアイテムボックスに収納して道路をきれいにする作業に没頭する。
いつの間にか、流鏑馬婦警眷属も戻り、戦う意志があるレベル0の眷属も召喚し武装させて戦わせる。
魔物の数がとにかく多いし、路上にも、建物内部にも、とにかくそこら中に魔物はいた。
仕方なしに、オークやリザードマンあたりを単体で倒せる強さを基準にして、基準以上の強さを持つ眷属に建物内部の捜索を任せることに。
空を飛ぶ魔物がいないのが幸いか……。と思っていたら、路上に影が差し視線を上げると、巨大なカラス、レイブンの群れが飛んでいるのが見えた。
・レイブン レベル7 タイプ:鳥、飛行
:大きな翼で空を自由に飛ぶ鳥の魔物。
雑食。家族単位で群れを形成し、集団で狩りを行う。
急降下しての脚の爪、嘴、風属性の攻撃魔法、羽根を硬化させナイフのように飛ばすなど、多彩な攻撃方法を持つ。
知能も高く、友誼を結べば荷物や人を背に乗せて飛ぶライドモンスターと成り得る。
ドロップ:鋭い嘴、烏の黒羽根、鶏肉1kg×10、高級羽毛布団
ものすごく有能そうな鳥だった。
これを仲間にできればと、《意思疎通》と《モンスターテイム》のスキルを試みる。すると、空を飛んでいた数十羽が向きを変え急降下してくる。
多くは近くの建物の屋根の上や電柱の上で若干の警戒状態。
三羽が代表して近寄り、地面に降り立ってそばに寄ってきた。
近くで見ると大きい。成人男性と同じくらいの背丈はありそうだ。ライドモンスターになるという話も頷ける。
何をしていたのかと、《意思疎通》スキルで会話を試みる。
すると、『エサを探していた』と返事が。
何を食べるかと伝えれば、『肉や木の実など、食べられるものなら何でも食べる』と。
では、これは食べるか? と、トレーに乗せられラップされた豚肉10kgを差し出すと、『食べる!』と返事が。
カアカアと興奮気味に騒ぎ出したところで、豚肉10kgを地面に置き、たくさんあるから仲間も呼べと伝えれば、周囲で様子見していたレイブンたちが一斉に羽ばたいて地面に降り立ち、近寄ってきた。
…………圧がすごい。レイブンたちの何倍もの大量のゴブリンやオークと対峙した時よりも。
腹減った、ヒナにエサを、なんかくれるのか、などなど、期待する意志が伝わってくる。
まずは空腹をなんとかしないと、交渉どころではないのか。
地面に豚肉を置いて、数歩離れてまた豚肉を置く。
食べていいぞ。ケンカするなよ。と伝えつつ豚肉を出せば、うまいうまいと喜びの感情が伝わってくる。
豆とか麦とかも普通に食べる。とにかく腹が減っていたようだ。
あれこれ食べてようやく落ち着いたのか、『ヒナにエサを届けたい』と伝わってくる。
エサを持って行っていいか? と伝えれば、『乗れ』と。三羽のレイブンが背を向ける。
限定3名様。おれと一華さんと双葉さんだな。
ほかの眷属には周囲の魔物の掃討を頼んで、空の旅をすることに。
登り始めた朝日を背に受け、一路西へ。
要市の、西の外れに、見慣れない高い木があった。
平地の森の中に、ひときわ高く太い大樹の枝葉に隠れるように、いくつもの巣が作られていて、ヒナたちがピヨピヨとエサをねだっていた。
産毛のヒナたちは普通に可愛いが、それぞれがニワトリより大きい。それを可愛いと言えるかは、人によりそうだった。
ヒナたちにエサを。レイブンたちの意志が伝わってくる。
すぐにオークのドロップ品である豚肉と、ゴブリンのドロップ品の豆と麦、ショップで買った鳥のエサ、野菜くずなんかを出して、好きなの持っていけと解放すると、近くのヒナたちは呼び寄せて、違う枝に巣があるヒナにはレイブンたちが嘴に含んで持っていくようだった。
木も鳥もヒナもサイズがおかしいのでこっちもおかしくなりそうだが、慌ただしく飛び回るレイブンたち。そこに、胴から二股に分かれて頭が2つある巨大なヘビが。
・ツインスネイク レベル22 タイプ:爬虫類
:頭が2つあるヘビの魔物。
肉食。昼夜関係なく、無音で接近し丸飲みにするハンター。口から毒液を飛ばす個体もいる。
鳥の卵やヒナなどが好物。
ドロップ:双蛇の皮、ヘビ肉、毒液、各種蛇革製品、活力剤マムシンガーZ、毒剣:双蛇
ヒナたちを抱っこして満足そうな一華さんと双葉さんに待機命令を出して、ツインスネイクを仕留める。
皮に肉に毒液に革製品がそれぞれ複数と、ドロップが複数どころか多数手に入ることもあるのだなと思いながら戻ると、ヒナにエサを与え終えたのか親鳥たちが次々と戻ってきていた。そして、一斉に意思が伝えられる。『安全な巣はあるか』と。
それに対し、ある、と応える。契約すれば、ファームという異空間で安全に過ごすことができる。と伝えれば、二、三羽寄ってきて契約すると伝えてくる。
レイブンをテイムしました。
ものは試しとばかりに、さっそく契約したレイブンをファームに収納する。
ファームはアイテムボックスに紐付けされているが、契約した魔物は出入り自由で居心地も良いようだ。レイブンたちの喜びの感情が伝わってくる。
ファーム内に消えたレイブンたちが姿を現し、ほかのレイブンたちを説得し始めた。
快適さと、なによりもヒナの安全が決め手になったようだ。
レイブン×32、レイブンのヒナ×16をテイムしました。
親鳥に対してヒナの数が少ないように感じたが、まだ孵化していない卵もあるし、先ほどのヘビなどに食べられてしまった卵やヒナもいるのだという。
レイブンたちに、巣の卵も連れて行ってほしいと伝えられたので、巣ごとアイテムボックスに入れてファーム内のレイブンたちのそばに配置すれば、親鳥らしきレイブンが卵を温めに巣に移動するのが分かった。
8:00
テイムしたレイブンたちを召喚し、再び空の旅。
要市内に戻り、再び魔物を倒して回ろうかと思ったところでE-フォンが震える。
『もしもし? おはよう。早い時間だけれど電話して大丈夫だった?』
「なんだポンコツ。なんの用だ?」
『ポンコツはひどいなあ。よく言われてたけどさあ。あ、きみ、女の子と同居してるの? それも二人。隅に置けないなあ』
「用がないなら切るぞ」
『ごめんちょっと待ってねー。二人が伝えたいことがあるんだって。…………も、もしもし?』
警察署で救助し《拠点》化した自宅に送り届けた、ポンコツ女性警官乙骨優の妙に明るく元気な声にイラッとしつつ雑に対応すれば、同じく自宅に保護した同級生の東舞さんの、切羽詰まった声が聞こえてくる。
「うん、おはよう。どうした?」
『それが、その…………。ごめんっ、要第一中学校を、助けて!』
悲鳴のような声。
すすり泣く東さんに辛抱強く声をかけて、なぜ要第一中学を助けてという話になったのか聞き出す。
その、内容は……。
「そういう話は、遠慮なく伝えてくれてもよかった。要一中なら、おれの後輩たちでもあるし、優先する理由になる」
市立要第一中学校、壊滅の報。
世界改変直後、校内の敷地に侵入してきた不審者……どうやら、オークの集団……に、用務員や教師陣が次々と殺害され、生徒たちは散り散りに逃げてしまう。
生徒会を中心とした校内への避難指示に従った一部は、校内各所の防火シャッターを下ろしながら上へ上へと逃げ、最上階の生徒会室に引きこもっているのだという。
男性や男子生徒は無惨に殺され、女性や女子生徒は尊厳を踏み躙られ結果命を落としていっているらしい。
校内への侵入がないのは、防火シャッターが頑丈なのと、昇降口や窓が強化ガラスで簡単には割れないこと、オークどもは体育館を占拠して雨風をしのいでいることなどが説明された。
「待ってて。すぐ行くから」
通神を切り、空を仰ぎ見て、
「…………クソが」
呪いの言葉を吐き捨て、数ヶ月前まで通っていたかつての母校へと駆け出した。




