第13話:12:00、蘇生。それと大事な実験
御剣一華さんと、双葉さんの二人に、蘇生薬を使用する。
一口で飲み干せる小さなビンに入っている液薬は、劇的な効果を即時発生させた。
・御剣 一華 レベル25 タイプ:人・戦士
県立要大学1年。サイズはF。
名家御剣家の長女。天才肌でわずかな努力であらゆることを修得できる。
確かな才能を持つが、余人に見られないよう隠れて努力を重ねるタイプ。
お姉ちゃんですから。
屍鬼として戦っていたときの記憶も残っているために、平坂武のことを非常に好ましく思っている。
名家であるが故に婚約者はいたが、相手側が浮気していたことで関係は解消されている。
好感度はS。(添い遂げるからね)
素質:水・風・光・木
適性:侍、将軍、巫女、騎士、騎兵、槍士、戦士
・御剣 双葉 レベル24 タイプ:人・戦士
市立要第一高校3年、現生徒会長。サイズはE。
名家御剣家の次女。天才肌な姉と自己評価が低い妹に挟まれた才女。
長い黒髪と柔らかい表情が多いのが特徴で、スタイルも良く運動神経も抜群。学業もおろそかにはせず、テストは常に最上位でトップ争いという、多方面で実力を発揮している。
屍鬼として戦っていたときの記憶も残っているために、平坂武のことを非常に好ましく思っている。
好感度はS。(この剣をあなたに捧ぐ)
素質:水・風・光・木
適性:剣舞姫、侍、将軍、巫女、騎士、騎兵、剣士、戦士
……いや……好感度……これはウソでしょ……ねえ、鑑定スキル先生?
蘇生薬を飲ませたら、姿勢良く座っていた二人が、急に力なく倒れてしまって、床にぶつからないよう慌てて双葉さんを抱きとめて鑑定スキルで見てみると…………うん。
二人の『屍鬼』の表記が消えたり、人物説明が屍鬼としての能力ではなく人としてのものに変わっている。
顔色も良くなり、規則正しく胸が上下しているところからも、蘇生薬で生き返ったのは間違いなさそうだ。
それはそうと、このままにはできないので、片手でE-フォンを操作して布団を二組購入、双葉さんを横にして、一華さんが倒れないように必死で抱き着いてる三樹に手を貸し一華さんも布団に寝かせる。
「び、びっくりしました……」
「蘇生薬使うと、こうなるんだな……」
机やイスはバリケードに使ったのか、ガランとした教室内に布団を敷いて女性を寝かせている状況。
なんだか、双葉さんを抱きしめた柔らかい感触を思い出し、無防備な年上女性が横たわるここにいてはいけない気がして、二人の目が覚めるまで一緒にいてほしいと頼み教室をあとにする。
・御剣 三樹 レベル0 タイプ:人
市立要第一中学校3年、現生徒会長。サイズはB。
名家御剣家の三女。優秀な二人の姉と自分との差に絶望し、ひねくれてしまっている才女。
気づいていないだけで、二人の姉にはない才能を秘めている。
やや、思い込みが激しい傾向にある。
既に覚悟は完了し、一世一代の告白を経て、吹っ切れた。
この身はいつでもあなたの望みに応じます。
好感度はS。(この身はあなたとともに)
素質:水・風・光・木
適性:弓術士、狩人、スナイパー、侍、巫女
…………去り際に見えた、三樹の鑑定結果に、おれの目がおかしくなったんじゃないかと不安になる。
生徒会室に戻ると、みんなホッとした様子で顔を向けてくる。
話を聞いてみると、大きめの声が断片的に聞こえてきたことで、言い争いになっているのではと心配していたようだ。
そんなことはないから大丈夫だと声をかけて、実験に付き合ってくれと思井佳奈美を指名する。
「《死霊召喚》」
・ウィスプ レベル1 タイプ:霊体・不死
:火の玉のような姿で思念や霊魂を核に存在している浮遊霊。あるいは、残留思念。
HPやMPを吸収してくる。
属性を持たない物理攻撃はすり抜け無効となるが、霊的な攻撃力を持つものにはとても弱い。
ドロップ:灰、ロウソク、提灯、浮遊灯籠
死霊召喚で、不気味な色で燃える人魂ウィスプを召喚する。
核となるむき出しの魂や思念で構成された燃えない火の玉は、とても脆いが物理は通用しない。
この状態で、HPやMPを少しずつ吸収してくる微妙に面倒な不死系魔物だ。
佳奈美には、霊撃棍という名の、50cmくらいの棒を持ってもらう。
・霊撃棍 1000ポイント
:攻撃力+0、霊体斬り、不死特効、魔力撃
武器としての攻撃力はまったくないが、実体を持たない霊体にダメージを与える《霊体斬り》や、屍鬼のような不死系魔物に対して抜群の効果を発揮する《不死特効》に、MPを消費することで威力を上げる《魔力撃》を持つ特殊な武器だ。
「武先輩、何をすればいいんですか?」
「うん。その棒で、召喚した人魂を叩いてみてくれ。召喚した魔物を倒してレベルアップできるかという実験と、物理攻撃が効かない霊体に説明どおりの効果を発揮するかの実験だ。これが上手くいくと、外に出て動く魔物を倒しレベルを上げる必要がなくなる。第一歩を極めて安全に済ますことができる」
「分かりました。えいっ」
戸惑いながらも、佳奈美はウィスプに霊撃棍を打ちつける。
きれいなフォームで、意外と様になっていた。
・思井佳奈美 レベル1 タイプ:人
「よし、実験は成功だな。次は、《死霊召喚》。とりあえず20くらい倒してみてくれ」
「分かりました。……はっ!」
気合の入った声を発し、20のウィスプを素早い突きで次々と消滅させていった。
「見事だな。……さて?」
・思井佳奈美 レベル1 タイプ:人
「……ふむ。変わらないか。なら、これはどうだ? 《死霊召喚》」
・スケルトン レベル3 タイプ:不死
:未練、怨念、魔力の結晶などを核にして主に人骨が動き出した存在。
命令に忠実に動く人形でもあり、武器防具を装備することもできる。
ドロップ:骨、頭蓋骨、骨のナイフ、骨の槍
「……ふっ!」
気合一閃。佳奈美は正確にスケルトンの核を打ち抜き、一撃で倒していた。
・思井佳奈美 レベル1 タイプ:人
「ふむ……」
召喚した魔物ではこれ以上は上がらないか。
あるいは、別のタイプの魔物を召喚したら?
「まあいいか。佳奈美、助かった。知りたいことは知れた。ではみんな。これを、全員でやってもらう」
「お待たせしました。…………みんな、なにやってるの?」
三樹が生徒会室に戻り、首をかしげる。
「レベル上げだ。三樹にもやってもらう。それで、一華さんと双葉さんは?」
「はい。無事に目を覚ましました。本当にありがとうございます。この礼は、どれほど時間がかかっても、必ず」
深々と腰を折り頭を下げる三樹の肩に手を置いて、頭を上げさせる。
「その気持ちだけで十分だ。一華さんと双葉さんには、負い目があるから」
「負い目とか、必要ないわ」
「私たちこそ、どれほど感謝してもしたりないのだから」
しっかりした足取りで、一華さんと双葉さんが近寄り、三樹ごとぎゅっと抱きしめてくる。
「ありがとう。本当にありがとう。あなたのおかげで、また妹たちと、家族と会えたのよ。誇りに思ってちょうだい」
「ありがとう。きみのおかげで、家族を救うことができたんだ。それを、負い目だなんて思わないでほしい」
「……姉さんたち、ちょっと、苦しい……」
おれと二人の姉に挟まれて、嫌そうな声を出す三樹。
どうしたらいいのかと頭が真っ白になって、助けを求めて中学生組を見る。すると、涙ぐむものもいたが、ほぼ全員、目を見開いて興味深そうに状況を見守っている。
「……わくわく」
篠原 ……歩、だったか。足が不自由な女子が、キラッキラした目でこちらを見てくる。
いやちょっと、見てないでなんとかしてほしい……。
「……きひっ、みんな武先輩のこと好きすぎる……」
あ、相沢。なんでそんなニッコニコしてるんだ……。




