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第11話:10:00、中学生たち。可愛い後輩たち

「平坂先輩、ありがとうございます。本当に助かりました」


 御剣(みつるぎ)三樹(みき)の泣き声がおさまってきた頃、長身で長い黒髪の、思井(おもい)佳奈美(かなみ)が大きく頭を下げて感謝を告げてくる。


「思井……さん」


「はい。思井です。佳奈美で大丈夫です平坂先輩」


 長身で目つきが鋭く、表情が薄いのもあって、距離を取られがちな後輩だが、三樹の親友で友達想いの仲間想いな女子でもある。

 去年まで生徒会の庶務という名の雑用をしていたこともあって、彼女……佳奈美のこともよく知っている。



思井(おもい)佳奈美(かなみ) レベル0 タイプ:人

 市立要第一中学校3年、現生徒会副会長。サイズはC。

 御剣三樹の親友。

 長身に鋭い目付きと眼鏡、薄い表情から、冷たい印象を与えるが、周囲から優秀な姉と比べられ続けて劣等感を抱いている三樹の相談相手になっていて、友としてそばで支えてあげたいと思う友達想いな面もある。

 本人も自覚していない友の恋が成就してほしいと、本心から願っている。そのために、自分の想いは、封印した。つもり。

 好感度はA。(好き)

 素質:水・土・光・氷

 適性:魔術師、僧侶、付与術師



 ……よく……知って、いる……。


 ……いやちょっと、鑑定スキル先生、これはいくらなんでも。


「佳奈美、頭を上げてくれ。……その、」


「うっす、田力(たぢから)っす。覚えてるっすかー?」


「ああ。覚えているよ」


 頭を上げようとしない佳奈美の肩に触れて、体を起こそうとすると、語尾が体育会系というか特徴的な元気娘が腕にひっついてくる。



田力(たぢから) 瑠衣(るい) レベル0 タイプ:人

 市立要第一中学校3年、現生徒会書記。サイズはB。

 男女分け隔てなく接する元気娘。

 誰とも悪意なく接することができるため、友人が多いパワー担当。

 恋愛とか興味ないので、友人相手なら誰彼構わずひっつきたい。

 でも最近、男子にはあまりひっつきたくない。平坂武は、別? 分かんない。ひっつく。

 好感度はB。(好意)

 素質:火・風

 適性:格闘家・軽戦士・戦士



 いや、その、鑑定スキル先生、ちょっと容赦してほしい。

 なんで相手の思考を読んだような鑑定結果が出てくるんですか。


「……ふひっ、……みんな、先輩のこと大好きすぎる……ひひっ、……捗る……」


「……お、おう……相沢……」


「きひっ、平坂先輩に名前呼ばれた……。今日はいい日……」



相沢(あいざわ) (らん) レベル0 タイプ:人・魔女

 市立要第一中学校2年、現生徒会経理。サイズはA。

 2本の長い三つ編みが特徴的な腐海の住人。

 真名はダークネスムーンプリンセス。

 お前はこの娘が苦手だ。しかし、分け隔てなく接した過去により、執着にも似た感情を向けている。

 友達が少なく人と話すのも苦手。しかし、趣味の話になると口数が多くなり早口になってしまう癖を持つ。

 それは、ほかの者を遠ざけてしまう忌むべきもの。

 しかしお前はこの娘のことを笑わなかったし嫌な顔もしなかった。ただ、好きなものを好きでいていいと肯定した。

 そのことが、この娘にとってどれほどの救いになったか、お前には分かるまい。

 好感度はS。(限界突破)

 素質:火・風・闇・雷

 適性:魔術師、付与術師、呪術師、人形師、召喚師、薬師、幻術師、奇術士



 …………鑑定スキル先生…………。

 ……今のおれに、どうしろと?


「……ごめんなさい。お待たせしました。すみません先輩。見苦しいところを見せてしまって」


 どうするべきかと本気で悩み始めたところで、三樹が赤い目をこすりながら生徒会室に入ってくる。


「いや、見苦しくなんてない。家族のために泣ける三樹は、とても正常だ。……おれは、泣けなかったから」


 この場にはいない佐藤鈴先生とは違う、もう一人の恩人から両親は殺されたと告げられても、葬式を経ても、結局おれは泣けなかった。

 親への愛情がなかったのかと問われれば、あったと断言できる。

 けれども、泣けなかった。


 思えば、両親が亡くなったその日から、おれはもうおかしかったのだろう。

 ずっと、壊れたまま。


 ただ、今はそんなことどうでもよく。


「三樹、大事な話があるが、参加できるか?」


「もう大丈夫です」


「なら、話を始めるぞ。今ここにいる全員に問う。おれはここを、要第一中学校を《要塞》化する。異存は?」


「要塞?」


 佳奈美が首をかしげる。


「《要塞》化した場合、中学校の敷地内は外から見えなくなる。そして、許可した者以外は領域に立ち入ることができなくなる。つまり、極めて安全な場所になるということだ」


「反対する理由がありません」


「ただし、《要塞》化には、膨大なポイントが必要になる。日本円にして1億円相当と、毎月の維持費で100万円相当。そのために、ここにいる者全員に義務を課す。代わりに、安全で快適な場所をおれが用意する」


 佳奈美が反対する理由はないというので、要塞化や義務の話をすれば、不安そうな表情をする女子もいる。


「義務の内容をお願いします」


「うん。まずは、全員が魔物を倒してレベルアップしてもらう。E-フォンを使えるようになるためにな。これは強制。それから、料理や掃除などの雑用を、当番制でやってもらうことになると思う。質問は?」


「レベルアップ?」


 今度は瑠衣が首をかしげる。


「魔物を倒すと経験値が入り、レベルが上がるようになる。それは進化の証しだとそれぞれが持っているスマホとかが変化して、色々できるようになる。それによって、おれからの恩恵も受けられるようになる」


「…………恩恵」


 相沢が、神妙な表情でつぶやく。


「おれが魔物を倒すと、おれが指定した仲間に経験値とポイントを分け与えることができる。人数の上限があるかもしれないが、今のところは限度になっていないからこの人数増えても問題ないだろう。ポイントは、E-フォンを利用して買い物などをするために必要なものだ」


「買い物、何を買えます?」


 意外としっかりした声で三樹が質問してくる。

 大丈夫だろうか。大丈夫ではないだろうけれど。


「メーカー品ならだいたい買えると思う。店で売っているものや、ネット販売限定品、テレビ通販限定品など各種揃っていた。服とか、シャンプーとか、お気に入りのものを使いたいだろうし。あと、薬や武器防具、とにかく色んなものがある」


「あの、魔物を倒すというのは?」


 少し緊張気味な佳奈美が質問してくる。


「そのままの意味だ。ただし、可能な限り安全な状況を作って、確実に倒してもらうことになると思う。その際は、ここから外に出て敵を探す必要があるが」


「……あの、……全員、ですよね?」


 ショートボブな髪の女子が、申し訳なさそうに手を上げてくる。



篠原(しのはら) (あゆむ) レベル0 タイプ:人

 市立要第一中学校1年、現生徒会書記。サイズはA。

 足が不自由で、基本的に車椅子を利用している。

 階段は松葉杖で上り下りできるが、いつもほかの生徒が補助に付くのを申し訳なく思っている

 この娘は、自身が役に立てないと懸念している。外に出て誰にも知られずに消えようとしている。

 好感度はE。(知らない人)

 素質:水・土・木

 適性:付与術師、人形師、呪術師



「すみません。私はこのとおり、まともに歩けないので、先輩が課す義務は果たせないと思います。……なので、」


「それがどうした」


「……えっ?」


「それがどうしたと聞いている。寝たきりでもなければ、やれることはある。重要なことは、ここを安全地帯にすること、最大の意思決定者をおれにすること、その恩恵を受けたいかどうかだ」


「…………えっと…………?」


 1年生の女子の、鑑定で見えた内容。

 人知れずとか、そういうのはお断りさせてもらう。


「分かりやすく言ってやる。お前たちはもうおれのものだ。手放さないし逃さない。危険な目には遭わせるかもしれないが、おれが守るし、もう誰一人取りこぼさない。おれがそう決めた。従え。ここにいろ」


 戸惑う女子に、衝動的に、湧き出た言葉を口にする。


 さすがに引くか? と思ったが、


「分かりました。この身はあなたのものです」


 三樹が、覚悟完了した目で即答した。




 ……いや、いやいや、かなり、無茶言ったと思うんだが…………。




「……きひっ、みんなハート撃ち抜かれた顔してる……」


「そ、そういう相沢さんも」


「あたしはとっくに、…………この命も魂も捧げてるから」




 ……すまん、相沢。それはさすがに引くわ。



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