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「いや、そうじゃないでしょ。その件はこっちのプランでお願いしていたと思うんだけど」
さっぱりとした雰囲気の会議室に、ぴりっとした空気が通り抜けていく。
「え、いや、先日のミーティングではプランBでとお伺いしたはずなんですが」
俺は今、取引先の会社を訪ねている。
只今商談の真っ最中。
というより、ほぼ話がまとまった状況で、現況を報告しにきただけだったんだが・・・
どうも雲行きが怪しい。
「違うでしょ。最終的にプランCに変更して終わったでしょ?」
そうだったっけ?
取ったメモにはそんなこと書いてないけどな・・・
「プランCに変更してちょうだい」
「え、いや、すでにプランBで作業が進んでますので、今更ラインを変更するのは難しいですよ」
「は?」
担当がデスクを平手で叩く。
「そっちのミスでしょう!それくらいやりなさいよ!」
そんな無茶な・・・
「それとも何?こっちのミスだと言いたいわけ?」
「係長、落ち着きましょう、ね?」
向こうの部下もだいぶ気を遣ってるな、これは・・・
「・・・分かりました。一旦持ち帰り、可能かどうか上司に確認してみます」
「は?今ここで決めなさいよ」
「はい?」
「それくらいできなくて営業が務まると思ってんの?」
とんでもないな、この人・・・
さっきラインを変更するのは難しいって言ったはずなんだけど。
一応、相手先だぞ、俺・・・
「きょ、今日はこの辺りで終了としましょう!」
見かねたのか、先方の部下が切り上げようと動いた。
「今からラインの変更が可能か確認をお願いします!係長、次のミーティングがありますから!」
「・・・ふん」
係長は立ち上がって、タブレットを抱えて会議室から出て行った。
「本日はありがとうございました!引き続きお願いします!」
「いえ、こちらこそ・・・」
部下の方も退室。
えらくぺこぺこしてたけど、
「・・・ふう」
部下の人が悪いわけじゃないのになぁ。
「まあ、帰りますか」
報告しないといけない案件もできたしな・・・
嫌だなぁ。いいことないよなぁ、この流れ・・・
*
「いやそりゃあ、お前が悪いだろ」
報告すると、直属の上司である課長が、
「最後の最後に聞き逃したんだろ」
「いや、そんなはずは」
メモも取ってるし、契約書にもそういう風に記載もしたし、先方のサインも取ってるんだけどなぁ。
「言い訳すんな!!」
デスクを叩く。
オフィスがピリつく。
「お前のミスだ!!お前が生産部に都合をつけろ!!」
「・・・分かりました」
これがここでの現実、か。




