魔王と二人
「さあ、これに乗って」
「お、おお・・・」
城の外に出てすぐのところに、馬車が停められていた。
屋根とドアが付いた紫の荷台。所々の金の装飾が豪華。
その荷台を支える四輪のタイヤ。
そしてその荷台を引っ張る二頭の馬・・・のように見える動物。
形状は馬に近いようだけど、たてがみが炎みたいに見える・・・気のせいか?
「陛下、お待ちしておりました」
そんな馬車の側に一人、おじさんが立っていた。
シックな黒のスーツを身に纏い、白い手袋を着用している。
誰が見ても分かる。たぶん、執事とかいうアレだ。
「ご苦労様」
「ご搭乗ください」
執事が荷台の扉を開けると、魔王はそのまま乗り込んでいった。
「・・・わあ」
少し目を逸らすと、大勢の兵士が転がっているのが見える。
氷の塊があっちこっちにあるし、魔王が派手に暴れたことが分かる。
「お客人もどうぞ」
「あ、ああ・・・どうも」
うん、見なかったことにしておこう。
たぶん、この執事も手を出してるだろう。腰に細身の剣があった。
魔王の戦闘能力が高いことは何となく察するところだけど、その側近みたいな立場なわけだし、腰の武器は飾りってことはないだろう。
拒否する理由はないにしても、黙って流れに乗っておくのが得策だ。
しかし、こういう乗り物に乗る日が来るとはなぁ・・・人生、何があるか分からないもんだ。
「城へ戻ってちょうだい」
「かしこまりました」
俺が乗り込むと、執事が扉を閉めた。
少しすると馬がいなないて、馬車が動き出した。
「おお・・・こういう感じなのか」
乗り心地はそう悪くない。
ちょっと衝撃はあるけど、想像していたよりも良い。サスペンションか何かが効いているのか、それとも平坦な道を通っているからなのか知らないけど。
少しすると、車体が傾いた。
どこかの坂に差し掛かって、上り始めたのか・・・?
「さて、と」
魔王が長い脚を組んで、
「よくわたくしの手を取ってくださいましたわ」
・・・ここからが本題ってところか。




