2/13
山の中で一人
「はぁ」
ステンレスの部品で組み上げられた焚火台に炎が灯る。
静かで誰もいない山の中。
ここにあるのは静寂と暗闇、そして時々ぱちぱちと音を奏でる焚火、そして俺だけ。
「こういう寒い時のキャンプに来て」
小さいケトルの口から湯気が出ている。湯が沸いた。
使い慣れた皮手袋を右手につけて、ヤカンの取っ手を取る。
コーヒーの粉を入れたマグカップに、湯を注ぐ。
「こういうのを飲むのがいいんだよなぁ」
スプーンでかき混ぜて粉を溶かす。
熱めのコーヒーを少しだけすする。
「はぁ・・・」
この瞬間が好きなんだよなぁ。
ゆらゆら揺れる炎。
時折爆ぜる音。
温かさをくれる焚火。
見上げれば星空が広がっている。
吹き抜ける冷たい風。
野生動物の鳴き声。
今ここにいるのは俺だけ。
ここが俺の世界であってほしい。
でも、向き合わないといけない現実もある。
ここは夢の場所だ。




