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「アレが魔王と一緒にいたという男か?」
「はっ」
これまた随分と豪華なところに通された・・・いや、連行されたと言ってもいいか。
天井には豪華なシャンデリア。
所々に置かれた豪華な装飾品。
長い真っ赤なカーペット。
壁に飾られたバカでかい絵画。
牢屋とは比べ物にならないくらいしっかり組まれた石造りの空間。
んで、数段ほど上に豪華な椅子が二つ。
そこに座るそこそこお歳のおじさんとおばさん。
金色の王冠とティアラをそれぞれ頭にしている。
ありゃあ、どう見ても王様とかそういうアレだよなぁ・・・
ってことは当然、ここはお城とかいう規模のアレだよなぁ・・・
「危険ではなくて?魔王の手下かもしれないわ」
「付近にいませんでしたし、こちらの指示に従っていたところを見ると、敵対意思はないと思われますが」
ないって言えばないけど、どうやっても勝てもしないし、逃げられもしないことを踏まえると、黙って従っておいたほうがいいんだよ・・・
下手に逆らって死ぬよりはいくらかマシだしなぁ・・・
「まあいい。おい、貴様」
王様らしいおっさんが、
「名乗れ」
「・・・うぅん」
えらく高圧的だな・・・少なくとも好きにはなれんタイプだ。
「我々の言語は分かっているはずだ」
分かってはいる。
それと同時に分かることもある。
こいつら、事情に詳しいな。
俺が異世界人だってことも把握しているし、異世界人がこの世界の言語を理解できることも分かっている。
ってことは、俺が初めてじゃないんだろう。
どれくらいの人数かは分からないけど、それなりに場数を踏んでいるはずだ。でなきゃ、こんな風に自分たちの前に連れてくるわけがない。
まあ、手錠はされてるし、最低限の対策はされてるわけだけど・・・
「この人、耳が聞こえないのかしら?」
「答える気がないのか?」
さて、どうしたもんか・・・?
素直に答えたほうが良さそうな雰囲気はある。
俺の経験上、この手のタイプにイイ思い出がない。このまま黙ってたら何かしらされそうだ。
そうだ、一つ試してみるか。
「あー、タンタターンです」
「・・・は?」
「なに・・・?もう一度言え」
「だから、タンタターンです」
適当なリズムを口にしてみた。
別に、そこに意味はない。本当に適当。
異世界人の事情に詳しいなら、日本人かどうか分かるかもしれない。分かっているなら、こっちが適当を言っていることくらい分かるだろうし。
「タン・・・は?」
「タンタターン。タンタ、ターン」
「何?姓があるのか。どこで区切るのだ?」
「タン、タ、ターン」
「貴様・・・我々をおちょくっているのか?」
いかん。遊び過ぎた。
面白くってついな。
「まあ、いい。貴様、魔王と共にいたようだが、魔族の手の者か?」
・・・そういう話になるか。




