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第五十六話 働かざるもの食うべからず・上
「着いたわね……ここが地下13階ね。結構疲れるわね」
私は、若干息を切らしながら壁を見る。
そこには、赤いペンキで雑に書き殴られたB13の文字がある。
なんか、安っぽいホラーハウスにありそう。
「ハハ、結構来るの大変ですよね。私も毎回来るたびに足が痛くなっちゃって」
苦笑しながら、鉄製の重そうな扉を押す。
さて、この先から孤児院か。
まぁ、腐っても軍が運営してるんだし、マトモなはず。
そう思って、扉の向こうへと進んだ。
―――白い。
白、白、白。
そこは、白一色に統一された廊下だった。
「え、何この空間」
なんか目が痛くなってくるな。
白って意外と辛いね、見るの。
「なんでも、全てを排除するために白一色なんですとか」
「全て? 全てっていうのは」
そう私が尋ねようとしたら、目の前にスーツを着た、くたびれた感じのおじさんがコッチにやってくる。
「あぁ、蒼山さんですね。妹さんの部屋まで案内します。どうぞ」




