第52話後編 真実への鍵
……現実ではない場所にある書斎、か。
うーん、よく分からない。
絶対に魔術的なものなんだろうけども、こんな魔術を使用できる人間なんていないからね……魔女という種族はやはり既知の生物を超えた逸脱者なんだなということを改めて思い知らされる。
にしても、魔女様の雰囲気……どこかで見たような。
「にしても、君がここに来るとはねぇ。いやはや、これも私の元上司の血のおかげかも。うーん、やっぱり混血のケースは興味深い」
……混血、4番目、か。
あの、最近時折り見る夢に出てくるあの女性。
もしかして、彼女は魔女?
ということは、私は……。
「あの、魔女様。一つ、質問をしてもいいですか? 」
「あー、私に聞きたいことってことは……。うーん、まぁいいか。いいよ、何が聞きたいのかな? 」
凄く悩んでた……。
何か不都合でもあるのかな?
「では、私の本当の母親について少しでもいいので教えてください」
「君の母親、か。まぁ、言ってもいい話しは大してないけど、うん。君の母親の名前は……もう気づいてるかもしれないけど……」
2022年 5月6日 2:13 D-3地区前線基地自室
Side:宵月瑠奈
……瞼が開く。
時計は、2:14を示している。
「……早く起きすぎた」
いつもならそのまま二度寝するのだけれど、今はそんな気分にもならない。
ちょっと肌寒いので、返還された制服のブレザーを寝巻きの上に羽織って外に出る。
……ふと、外を見上げる。
もちろん、曇りだ。
「あぁ、そっか」
私は、人でなかったか。




