第四十四話前編 とある人形術師の没落
体調があまり優れないので短めです。すみません
僕は……元々、ただ人形師の父に憧れただけの少年だった。
もし、僕が6才の時に魔術師の適性が見つからなかったら……こんなことにはならなかっただろう。
十数年前
Side:瑠衣
「僕が親衛隊、ですか」
松代臨時司令部にあるこじんまりとした面接室。
そこで、机を挟んで黒髪の少女……日本連合皇国が保有している3柱の魔女の1柱である13番目の魔女と相対していた。
秋風武装学園から卒業する寸前に、松代臨時大本営に来るよう本州連合政府から急に呼び出された時は、思わず何をされるのか怖くなったがまさか親衛隊への勧誘とは……。
「えぇ、そうですよ。松山瑠衣さんは、秋風武装学園のAクラスの中でもかなり優秀な魔術師でしたし。それに、その魔術だと就職先に困るでしょうし」
「ッ! ……そりゃ、知ってますよね。魔術師適性を調べてるのは貴女ですもんね」
一瞬、自分の適合魔術である無属性魔術"人形操作"を指摘されたことに反射的に驚いてしまったが、すぐに冷静に考えて魔女が知らない訳ないかと思い至る。
「はい。人間社会において、異端であるのは不利なことだと思います。でも、私の親衛隊にそれを気にする人は居ませんよ」
そもそも、変な人達ばっかりですからね。と、戯けながら彼女は言う。
実際、自分の魔術のせいで就職活動の成果は芳しくない。
自分の成績と技量から通ると思っていた宮廷魔術師も落ちてしまった……。
そんな中、今回提示された魔女の親衛隊への参加。
正直、かなりいい。
だから、僕は……。
「魔女様、良ければ僕を親衛隊へ入れてください。お願いします」
彼女の親衛隊に入ることにした。




