表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《PV10000突破》ユダの黙示録  作者: 神代リナ
第零章 砕けた氷
42/73

第四十話 動き出す影

辻褄合わせのために日付けを変更しました。

 2022年 4月 21日 松代臨時司令部

 Side:???


 (わたくし)は、チェス盤を挟んで沢山の勲章が付いている軍服を着ている黒髪の少女と対峙している。

 少女は、駒を動かしながら(わたくし)に話しかける。


「それで、あなたの作戦の進捗はどうなのだ?」


「順調ですよ、皇女殿下。使えない駒(かずみ)の処理も完了しましたし、秋風派の軍人たちへ叩きつけられそうな証拠も出て来ています」


 今度は、(わたくし)が駒を動かす番だ。

 しっかりと、チェス盤の状況を眺めてから駒をパパッと動かす。


「……ふーん、そんな適当な手でいいの?」


「えぇ、構いません」


 だって、もう未来は確定しているから。

 (わたくし)は、また目の前の少女に負ける。

 これが当たれば、チェスの戦績は3勝50敗……はぁ、憂鬱。


「秋風卿に気づかれた気配は?」


「恐らくないかと。ただ、唯一の懸念点としては」


「宵月瑠奈の覚醒、か。そればかりは、(わらわ)にはどうしようもない。お前の目なら見れるのではないか?」


 着実に、(わたくし)を劣勢に追いやりながら皇女殿下は問う。


「この目は、あくまで自分より格下の生命体の未来を見れるというモノです。つまり……」


「お前より序列の高い4番目の魔女の血を引き継いだ宵月瑠奈の未来は見えない……こう言う事か?」


「はい。その通りです、殿下」


 劣勢を覆すには至らないであろうが、この盤面での最善手を打ちながら答える。

 次はどんな手を打つかを考えていると、急に姿勢を改めて皇女殿下は(わたくし)の目をジッと見ながら口を開く。


「……一つ、聞いてもよいか? 黙示録派筆頭、13番目の魔女よ」


「なんなりと」


「D-03地区にある例の兵器……本当に原初派の連中は素直にこちらに引き渡すだろうか?」


 あぁ、そんな事か。

 それは簡単だ。

 (わたくし)は、自信を持って答える。


「えぇ、必ず引き渡すでしょう」


「なぜ、言い切れる?」


「簡単なことです、殿下。原初派の魔女たちにとって何よりも大事なのは、神の教えなのです。そして、神はある少女に昔こう言ったそうです……嘘をついてはならないと。だから、原初派の魔女が渡すと約束したならきっとそれがあの兵器であっても我々に引き渡すでしょう」


「……そうか。お前がそう言うならそうなんだろう……そして、チェックメイトだ」


 あぁ、確定した未来はちゃんと訪れた。

 今日は、記念すべき50敗目の日となった。

 ……なんて、嫌な記念日なんだろうか?


「……何故、(わたくし)はいっつも負けるのでしょうか?」


「単純に、こういう事では妾の方が優れているってだけだろう。適材適所、だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ