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《PV10000突破》ユダの黙示録  作者: 神代リナ
第零章 砕けた氷
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第四話 火葬屋と呼ばれた少女

この話でこの偵察任務の話が終わります。

そしたら、次話の人物紹介のあと、しばらく(2〜5話分くらい?)日常編が続く予定です。

今後ともよろしくお願いします。

 私は迷いなくM4カービンのトリガーを引く。

 響き渡る銃声。

 マズルフラッシュで視界に火薬の爆発による光が入り込む。

 そして、銃口から放たれた銃弾は目標へと向かっていく。


 次々と目標の目前まで銃弾が迫る。


「ッ!!」


 大剣で私をミンチにせんと迫っていた男が足を止める。

 普通の人間相手だったら、迫る銃弾に恐怖したか絶命したことにより足を止めていた事だろう。

 しかし、ヤツは恐らく魔術師……。

 なんかしらの防御手段を実行するために足を止めたのだろう。


 私の予想は見事に的中した。

 男の身体を本来貫いていたはずの弾丸が地面に落ちる。

 弾丸が地面と衝突することで奏でられる振動が軽く私の鼓膜を震わす。


 そう、ヤツは自分の身体よりも大きい大剣を地面に突き刺すことで即席の盾としたのだ。

 大剣に防御魔術かそれとも物理攻撃耐性の術式でも仕込んでいたのか。

 銃弾は、大剣を破壊することはおろか傷一つをつけることも叶わなかった。


 それでも、男の足を止めることは出来るのでとにかく銃弾を撃ち続ける。

 宙を空薬莢(からやっきょう)が舞う。

 残り弾数は……10、5、1……0。


「リロード! カバーよろしく!」


「分かりました!」


 私は銃弾を撃ち尽くしたので、先程の瓦礫に再び身を隠し、(から)マガジンを地面に落とし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()をマガジンポーチから取り出して装填する。

 ……物理耐性があるのは分かったからね。

 今度は、魔術師同士の戦いの本番と行こう。


 私がリロード間は、氷華が銀色のルガーを撃ってヤツを足止めしている。


 にしても、敵の魔術師は基本的に汎用魔術の一つである身体強化しか使っている様子がないが……それなら何故、消費魔力量の少ない身体強化のみの使用でここまで大きな魔力反応を感じるのだろう。


 ……嫌な予感がする。


「先輩! 私の方も弾が切れたので、前衛の交代を!」


 おっといけない。

 バディがいるせいで気が緩んでいたらしい。

 また考え込んでしまった。

 ちゃんと気を張らないと、だ。


「オッケー、任せて!」


 そう言って私はチャージングハンドルをガチャッと引き、再び瓦礫出てヤツに照準を定める。


 ……今のところ、あの男が汎用魔術の中でも初歩中の初歩である身体強化しか使っていないことから考えるに、ヤツはそこまで高位の魔術師ではないだろう。

 だから、特定の属性魔術に対する耐性などはないはずだ。


 セレクトレバーをフルオートからセミオートに切り替える。

 トリガーにそっと指をそえる。


「術式起動」


 私はそう呟くと、トリガーを迷いなく引く。

 再び鳴り響く銃声。

 そして、先程と同じように一発の銃弾は堅牢な盾と化している大剣に当たる。


 そう、ここまでは先ほどまでと同じ。

 しかし、銃弾は大剣によって弾かれることなく……その場で勢いよく燃え始める。

 その炎はやがて男の身体まで燃え移る。


「ガァァァァァッ……」


 男はもがき、火から逃れようとするがもう遅い。

 そのまま男は骨までもが燃え尽き、灰となる。

 炎も燃えるものを失い、鎮火する。

 風が吹き、さっきまで人間だった灰が飛んでいく。


 その場には、地面に突き刺さったままの、主を失った大剣のみが残っていた。

 ……あれほどの魔力反応を垂れ流していたにしてはあまりにも呆気ない。


「……ただの魔弾でこの火力……凄い」


 氷華が思わずといった感じでそう呟く。


「別にそんな凄くないよ。Aクラスの連中なら誰だってこれぐらい出来るよ。……思ったより時間食ったわね。帰りは急ぐよ!」


 時間を確認すると、もうD-3地区に入ってから2時間も経ってしまう。

 ……罪人(つみびと)になるのはごめんだ、私はまだ人間をやめる気はない。

 急いで帰るしかあるまい。


「分かりました! 私が索敵魔術を使って安全な道を割り出すので、ついてきて下さい」


 索敵魔術を使うと魔力反応で敵に存在がバレやすくなるけど、今更か。

 にしても、これだけ派手に戦闘をしたのに敵の増援は来なかった。

 まさか戦闘に気づかなかった? 

 そんな訳あるか、この戦闘を気づかないなんてある訳がない。


 ……まぁ、色々と疑問点はあるが今は帰還しなければならない。

 今は置いておこう。


「索敵魔術、私が使ってもいいのよ?」


「先輩は先ほどの戦闘で魔術を使いましたから、今度は私に任して下さい」


「分かったわ、今回は貴女の言葉に甘えるわ」


 そう言うと、私は一応男が使っていた大剣を回収して、氷華の後ろ姿を追って走り始めた。


 ……その姿を遠くの廃ビルの屋上から見ている男が2人いた。


「なるほど。流石、火葬屋と呼ばれるだけはある魔術師だ。最低ランクのオモチャとはいえ、僕の人形(マリオネット)を魔弾一発で灰にするとはな」


「……()()()()に報告致しますか?」


「所詮、この地区の端を偵察されただけだ。あれを確認された訳でもない。まだ、あの御方へ報告する必要はないだろう……次は少し本気で相手をしてやろう、宵月瑠奈」

ちなみに、魔術師は銃弾が見えています。

この世界の魔術師は普通の人間より身体能力や動体視力がいいので。

まぁ、ここら辺の設定はおいおいまとめて公開します。

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