第三十七話 かつての相棒と今の相棒
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Side:蒼山氷華
私たちは、弱い光を発するのみの電灯しかない暗い道を歩く。
会話は少ない。
まぁ、意味深なこと言っちゃったから仕方ない……アレは、宵月先輩が自分でたどり着くか、あるいは13番目の啓示を受ける以外はダメだ。
少なくとも、私が教えることは許されないし、宵月先輩のタメにもなるまい。
私はあくまで……表向きは黙示録派であってはならない。
何も知らない、無知な蒼山の哀れな娘でならなければない。
「ねぇ、氷華」
「言いませんよー、いくら宵月先輩でも」
「そう」
ただ、何だろう。
露骨に残念そうな顔をされると私も困る。
だから……ちょっとしたヒントくらいなら。
「まぁ……これくらいなら言っても良いと思うんですけど。私は貴女の味方ですよ。仮に何があっても、です」
「……そっか。それは、嬉しいな」
まぁ、これくらいなら許されるだろう。
……ん、この気配。
誰か、付けてるな。
宵月先輩は……気づいてるのかなぁ?
うーん、よく分からない。
「宵月先輩、先に行っててください。私、寄るところを思いだしたんで」
「ふーん、そうなの。じゃ、お先に。また、後でね」
「はい、また後で」
十分、宵月先輩との距離が開いたのを確認したのちに後ろを振り返る。
そこには、紫髪の女性がいた。
黒い服装に、公安の紋章……遠崎和美、かつての宵月先輩のバディだった人だ。
はぁ、面倒くさそうな相手だ。
願わくば、私の過去を知らない人でありますように。
「……あら、すぐ暴れ出さないとは狂信者の割には躾がなっているのね。蒼山氷華、貴女のことはよく聞いてるわ」
……当たりだ。
コイツは、何も知らない。
もし、私の過去を知っているなら、こんな悠長に話さないだろう。
とっとと、両手を使いものにならないようにするはず。
「別に、狂信者でもないですから。確かに、宵月先輩に憧れはしてるけど、ちゃんと理性はあります。で、公安の方が何の用でしょうか?」
「……いや、今の私は国家公安警察の一隊員ではなく、遠崎和美という一人の人間として立ってるの。単刀直入に聞くわ……今すぐ4番目候補の身柄をよこしなさい」
要するに、宵月先輩を殺したいと。
うーん、流石あの御方から渡された危険人物リストに載っていた人間だ。
大方、学園長が捨てるために一芝居打っただけだろうけど。
面倒なことをしてくれる……あの男も。
「……断ります」
「そう……じゃあ、分かるわよね」
そう言うと、彼女は懐から拳銃を取り出して、私の眉間に照準を合わせる。
はぁ、付き合ってあげるようとしよう。
……目の調整をし終わるまではへっぽこ魔術師として戦おう。
「えぇ、始めましょう」
狂者同士の舞踏会を




