表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《PV10000突破》ユダの黙示録  作者: 神代リナ
第零章 砕けた氷
38/73

第36.5話 君の戦う理由

お騒がせしました。

とりあえず、ちゃんとしたユダの黙示録の話しに差し替えました。

 ……大変だった。


 歓迎会の始まりを恵梨香から宣言されたあと、取り皿に食べたい料理を控えめにとって、さーて食べようとなった瞬間。

 たくさんの生徒が私のところへと話しに来たのであった。


 宵月家に顔を覚えて欲しい者や将来宵月家に資金援助をして欲しい者、単純に私に憧れている新入生などなど。

 ……まぁ、最後の生徒たちに関しては純粋に嬉しかったけど。


 それはそうと、知り合いは逃げるし、私はそもそもあまり大多数の人と話すのは苦手なので、この人々をとりあえず恵梨香に押し付けて、部屋の隅に1人立って飲み物をチビチビと飲んでいる氷華の元へと行く。


「……あ、宵月先輩。あの人たちは、良いんですか?」


「良いんだよ、恵梨香に押しつけて来たから。あの子だって、桜木家次期当主にして、Aクラスなんだから」


 ……実際、恵梨香は容姿端麗で魔術師としての腕も高いから、彼女を慕っている後輩も多い。

 まぁ、それはさておき。


「貴女、ジュース飲んでるの?」


「はい、アルコールは苦手なので……宵月先輩はワインですか?」


「うん、成人年齢は15才になったしね。あんま酔わないし」


 私は、ゆっくりと赤ワインを飲む。

 はぁ、酒を飲まずにはやってられないわ。


「ふふっ、似合っていますね。ドレスを着た宵月先輩がワインを飲んでいる姿は?」


「そう? なんか、学生が背伸びしてる服に見えちゃうのよねぇ、私自身は」


 そう、グラスに映った自分の姿を見て呟く。


「意外と自虐的ですよね、宵月先輩って。もっと自信を持っていいと思うのですが……」


「無理だよ……だって、私は……」


「空っぽだから、ですか? 戦う理由もないのに、戦ってる魔術師だから……ですか」


「……ッ! ……えぇ、そうよ。滑稽でしょ、そんな魔術師は」


 そう言い捨てながら、壁にもたれかかる。

 はぁ、挙げ句の果てには他人の剣技に追いつくのを無理やり戦う理由に当てはめてる……それは戦う理由にはなり得ないのにね。


「ほんとに……ほんとに……そうでしょうか」


「……うん?」


「宵月先輩、好きなことはなんですか?」


 好きなこと……好きなことか。

 魔術は……義務感だし……うーん、あっ。


「えっと……普通な事とか平和な事、かな。私がもし一般人だったらとか第三次大戦がもし起きなかったら……ってよく考えるし。でも、それは戦う理由にはならないと思うけど」


 というか、どうしようもない。

 こんだけ荒廃し切ってしまった世界に平和なんて訪れる訳がない。


「……それはどうでしょうかね?」


「……貴女は、何を知ってるの?」


 氷華は……蒼山氷華という人間は……

 何者なんだ?


「それは……ひ・み・つ、です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ