第三十一話 暴走した復讐者
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Side:学園長
僕は、学園の自分の部屋でコーヒーを飲みながら、議会の連中から送られて来た書類に目を通す。
D-03地区攻略のための予算は可決……やれやれ、相手側の魔女の脅威がほぼ0になってやっとか。
あとは、国防軍と公安に連絡……あと、月詠重工にも一応連絡は入れておくか。
物資の受け取りは、円滑に行いたいしね。
と、そんな事を考えていたら、ドアがノックされた。
「どうぞー」
「失礼します、学園長」
入って来たのは……紫髪で黒いスーツを着た女性だ。
はぁ、また和美君か。
彼女、優秀ではある……ただ、綺麗すぎる。
もちろん、容姿の話ではない。心の話だ。
「……僕にまた何か聞きたい事でも?」
「国防軍ならびに貴方の意図が聞きたいのですが……公安の上層部に聞いてもはぐらかされるので」
……あぁ、そうだね。
原初派に恨みがある彼女からしたら、彼らとの協定なんて見過ごせないか。
それに、表向きには原初派は絶対悪だからね。
原初派は人類の敵、か。
あっているが間違っているな。
「それは僕に聞いても同じです。宵月瑠奈のバディだった時代と同じ返答しか出来ませんよ。いち下位諜報員に過ぎない君には、教えられない……ってね」
「そうですか……では、私もやり方を変えます」
そう言うと、彼女は懐から黒い拳銃を取り出して、その銃口を僕の眉間に突き付ける。
……まったく、野蛮だねぇ。必死なのは分かるけどさ。
「貴方たちの意図を教えなさい、秋風龍弥」
「……はぁ、言える事は変わらない」
「なら……」
「ただ、変わりの情報なら話せる……例えば、この学園に4番目の娘がいるとか」
「……原初派に所属していた第四の魔女に娘が? それ、本当?」
「えぇ、こちらを」
机の引き出しから、一級機密と表紙に書かれている紙の束を彼女に渡す。
すぐに彼女は銃をしまってそれを受け取り、パラパラとめくる。そして、5枚目の……そう、あの子の顔写真があるページでその指が止まる。
「……そう、そうだったのね。えぇ、ありがとうございます学園長。……ちなみに、殺っても構いませんね?」
「もちろん」
「では、失礼します」
ふう、やっと帰って行った。
そう思いながら、恐らく冷めてしまったであろう残りのコーヒーを飲もうとした時、僕の目の前に突如として青いドレスを来た黒髪の少女……いや、魔女が現れた。
「あら、いいの? 今の宵月瑠奈では、和美には勝てないでしょうに」
「そうだね。ただ、彼女には護衛がいる……蒼山氷華という忠実な護衛がね。和美じゃ、氷華には勝てないよ」




