第二十五話 陰謀漂う神殿
……最後の部屋。
神造兵器保管室……まさに原初派の魔術師が居そうな部屋だ。
さらに気を引き締めて行こう。
「瑠奈、行くよ」
「了解」
バンッ!!!
勢いよく扉を開ける和美先輩。
そして、私たちは武器を構えて部屋へと突入する。
……誰もいない。
それに、荒らされた形式もない。
ケースに収容されている神造兵器たちは、ちゃんと綺麗に整理整頓されている……どう言うこと???
「先輩、これはどう言う……?」
「……ふーん」
「先輩?」
和美先輩は、部屋の奥へと歩いていく。
そして、最奥の壁を叩く。
……この音は、もしかして。
「奥に続いてるわ、ちゃんと。ただ、扉を開ける方法が分からないから荒技でいきましょ。瑠奈、伏せなさい」
「え、あ、はいっ!」
そう私に言うと、和美先輩は懐からプラスチック爆弾を取り出して、その壁に設置・爆破する。
どーんっ、と派手な爆発音。
地面に伏せている私の頭スレスレを瓦礫が飛んでいく。
……ちょっと怖いわね、これ。
瓦礫が地面に落ちる音が止んだ。
そろそろ、立ち上がってもよい頃だろう。
私が立ち上がると……和美先輩の読み通りに破壊された壁の向こうには道が続いていた。
「やりましたね、先輩」
「そのセリフは、全部終わってからに取って置いて。さ、気を取り直して行くわよ」
「はいっ!」
和美先輩の後を進んでいく。
先ほど以上に暗く、狭い道だ。
しかも、グネグネと曲がっている。
一体この先に何が……。
歩き始めてから、3分ほど経った頃だろうか。
ふと、広く開けた場所に出る。
そこはとても厳かな雰囲気のある場所で……奥の壁には逆十字が掲げられていた。
そう、ここはまるで教会のようだ。
そして、この場所の中心部には……黒いローブをした男が派手な装飾のなされた黄金の槍を持って佇んでいた。
彼の顔は、ローブのフードを被っているせいでよく見えないが……恐らくここを襲撃した原初派の魔術師だろう。
にしても、彼1人だけで襲撃に来たとは……いや、正確には1人じゃないか。
彼は、死霊術師。
まだ姿は見えないが、きっと沢山のリビングデッドを連れているに違いない。
……もしくは、連合皇国政府もこの襲撃に一枚噛んでいる。いや、この妄想はよそう。
私たちが考えたところでどうせ何も分からないなら、真実なんて知らない方が幸せだ。
「貴方が管理局を奇襲した原初派の魔術師……で、あってるかしら?」
和美先輩が、あの男魔術師に対してそう尋ねる。
「……おやおや、まさか魔術師が来るとは。えぇ、まぁそれであってますよ、お嬢さん方。僕の名は瑠衣、とある偉大なる御方に使える死霊術師でございます。以後、お見知り置きを」




