第二十一話 管理局防衛Ⅲ
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私たちは、今空を飛んでいる。
そう、ついに超大型爆撃機に乗ってしまったのである。
急いで行くにはこれしかなかったのよ……きっと。
少なくとも、私はそう信じている。いや、信じたい。
……ところで、さっきからエンジンからヤバげな音が聞こえるのだが大丈夫なのだろうか?
これがデフォルトの音だったり?
「あの、大宮二等兵」
「どうした?」
「エンジンからヤバい音がしてるのだけど……大丈夫ですか?」
「お、よく気づいたな! 実は4番エンジンがあの世に旅立ったんだ、ハハハッ」
……笑ってる場合か!
私は降りる、絶対に。
座っている座席のシートベルトを外そうとする。
が、私の手は和美先輩に捕まれる。
「あと、3分もすれば着くから落ち着いて。それに、何処から降りようと言うの?」
そう言えば、コイツは爆撃機だった。
空挺降下部隊用の輸送機ではない。
私たちは、何処から降りればいいのだろうか?
高度15000からの転移は、消費魔力的にしたくない。
これから戦いに行くと言うのに、その戦闘に使う分の魔力を使っては元も子もない。
「今、確かに何処から降りればいいんだろうと思ってるでしょ」
ビシッと私の顔を指差しながらそう言う、ドヤ顔で。
「よく分かりましたね、先輩」
「ま、私たちは小学校からの付き合いだからね。これくらい当然! 」
いえ、つい数ヶ月前からの付き合いです。
勝手に過去を改変するのはよして欲しい。
「それはいいですから……何処から降りればいいか教えてください」
「ちぇー、つまらなくなってねぇ、私の後輩ちゃんは。まぁいいや、それで何処から降りるかと言えばねぇ……」
あ、嫌な予感がする。
何故なら、先輩が悪戯っ子のような笑みを浮かべているからだ。
「ずばり、爆弾倉! てか、ここしかないし」
「……つまり、今から私たちは爆弾の気持ちを知れると」
「そう言うこと!」
……私たちは、どうやら今日から爆弾ごっこをしなきゃならないらしい。
誰が悲しくて、爆弾の気持ちなんか味わはなければならないのか。
「宵月瑠奈とか言ったか。あんたは、幸せな方だよ。整備も碌にされてない下水道を進まなくて済んでるんだから」
シュールストレミング級の臭いを発する下水道を進むのと、エンジンが壊れていく空飛ぶ棺桶に乗るの、どちらの方がマシなのだろうか?
少なくとも、どちらも経験しないに越したことはないというのは間違いないだろう。
ガタンッ。
そんなくだらない事を考えていると、機体が強く揺れた。
「2人共、聴いてくれ! 2番エンジンもイカれちまった。だから、少し予定地点より少し手前だが、爆弾倉の扉を開く! 降下してくれ」
割と焦った声で、大宮二等兵が言う。
まぁ、一度たりとも空を飛んでいない航空機がここまで飛べたのは割と奇跡に近いだろう。
富嶽Ⅱ……お前も頑張ったね。
「了解! 瑠奈、爆弾倉の方に行くわよ」
和美先輩が元気よく返事をして、席から立ち上がる。
さて、私も行くか。
「了解……ところで、大宮二等兵はどうするのですか?」
「まだ4基は生きてるから、飛行場まで帰れるさ。俺の心配はいいから、さっさと行って来い」
「分かりました。……ご武運を」
「そっちもな」
私も立ち上がり、爆弾倉の方まで慎重に歩く。
「それじゃ、爆弾倉の扉を開けるぞ!」
扉が空いた瞬間、下から風が吹いてくる。
一応、スカートは押さえた。
「それじゃ、行くよ、瑠奈! 降下開始!」
私たちは、この機体から飛び降りる。
強風が、容赦なく私たちの身体を殴りつける。
しばらくは、おとなしく落下して、地上が近づいて来たら転移を使うという手筈だ。
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作者のモチベーションが上がるので(露骨な乞食)




