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《PV10000突破》ユダの黙示録  作者: 神代リナ
第零章 砕けた氷
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第二十話 管理局防衛Ⅱ

 ……かなり不味い事に、私の予想は当たってしまった。

 私たちが走り出してから大体10分後。

 目の前には、国防軍の航空基地の入り口がある。


「おい、お前ら。こっちに来ても、運んでやる事は出来ねーぞ。大人しく、学園に来てる輸送車に乗りな!」


 ……当たり前だが、目の前に居た警備兵の1人にそう言われる。

 さて、諦めて帰ろうか……


「大宮二等兵を呼んでくれない? 忙しいとこ悪いけど」


 という訳にはもちろん行かないようだ。

 和美先輩は、大宮二等兵という兵士を読んでくるように言っている。

 ……はて、誰だろうか? 私は、知らない名前だ。


「大宮……あぁ、あの万年二等兵野郎か。ちと、待ってろ」


「ありがとう」


 お、警備兵の人がちゃんと呼びに行ってくれた。

 優しい人だな。


「先輩、大宮二等兵って誰ですか?」


「あぁ、そっか。瑠奈は知らないわよね……大宮二等兵は、司令部のお偉いさんに嫌われてるけど中々優秀な国防軍の兵士よ。ちょっとばかし、貸しがあってね。アイツ、操縦の事になるとほんと優秀なのよね……」


 何やら、空軍の警備隊に属している癖に航空機やら潜水艦やら戦車やらの操縦も出来るらしい。

 ……確かにどうなってるの、その技能? 


「お、来た来た。アイツが大宮よ」


 和美先輩の指差す方を見てみると、基地内からこちらに向かって来る先程の警備兵と……その横を歩く茶髪の青年がいた。

 あの青年が大宮二等兵……容姿は青年と呼ぶのが相応しいくらい若く見えるけど、目付きや身に纏っているオーラは熟練の兵士のそれである。

 彼、ほんとは何歳なのだろうか? 

 少し気になる。


「おう、和美か。ん? アンタのバディか?」


 私の方を見ながら、大宮二等兵は言う。


「えぇ、そうよ。この子は宵月瑠奈、1-A所属の」


「なるほどな。ふーん、その剣……アレか」


 何やら、私の剣を見ながらブツブツと呟いているがよく聞こえない。


「今日はお世話になります、大宮二等兵」


 とりあえず、挨拶をしておく。


「おう、輸送なら任せておけ。で、今日の行き先は管理局だろ、和美?」


「よく分かったわね」


「おいおい、流石に管理局襲撃の件ぐらいは知ってるって。いくら俺がサボり魔だからってあんま舐めるなよ」


「いや、そう思われてもしょうがないだろ……」


 同僚と思われる警備兵に突っ込まれてるし。

 てかサボり魔なのか、この人。


「で、あの試作機による空輸でいいか? 車と普通の輸送機はあいにく出払っててな。アレしか残ってないんだ」


「構わないよ」


 ……嫌な予感的中。

 そう、この飛行場にはかの有名な航空機がある。

 大戦末期に、国防軍主導の元一機だけ作られた超大型爆撃機の試作品。

 その名は、富嶽Ⅱ(ふがくツー)

 かつて、大日本帝国で構想されていた大型爆撃機の名を冠する軍用機である。


 ちなみに、一回も試験飛行とかはしていない。

 今回のフライトが、富嶽Ⅱの初飛行である。

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