第十七話 届かぬ想い
「……また使いませんでしたね、その剣」
戦いが終わると、端の方に居た胡桃が近づいて来て、私にライフルバックを手渡しながらそう言う。
「持っててくれてありがとう……別に使わなくても良いでしょ。実際、勝ったんだし」
私はそう返事をして、ライフルバックを受け取ると、そこに回収したM4カービンをそこに入れて、バックを背負う。
「恵梨香ちゃんが本気のあなたを倒したいのくらい分かっているでしょうに。なんで、それに応えてあげないのですか?」
「……解除。さぁ、なんでだろうねっと」
ドーム状に貼っていた結界を解除して、恵梨香の身体を持ち上げる。
……また、お姫様抱っこね。いつかも、こんな事したわね。
「宵月瑠奈、あなたはまた……!」
「別に、はぐらかした訳じゃないよ。ほんとに、自分でもなんでか分からないんだよ」
なんで私は……あの流星に囚われているのだろうか?
3年くらい考えても、まだ分からない。
でも……どうしてか、あの時見た流星を裏切れないのだ。
私は、さも答えを天にいる神に求めるかの如く、恵梨香を抱えたまま空を見る。
……ちょっと雲が分厚くなってるな。
ポツンっと、頰に何かが当たる感触。
手でそれを拭ってみる。
黒い水……普通の雨か。
「宵月さん……校舎に行きましょう。濡れちゃうから」
「……そうね。恵梨香のバレット、お願い出来る?」
私は、地面に落ちている恵梨香のM82A1を見つめながらそう言う。
にしても、魔術的な炸裂弾だなんて……恵梨香は成長しているのね。
それに比べて私は……。
「分かりました。急ぎましょう、本降りになる前に」
「……えぇ」
私たちは、校舎へ向かって走って行く。
「よいしょっと……これでいいかしら」
私たちは、保健室へと訪れていた。
保健室のベッドに、恵梨香を寝かせるためだ。
私が、恵梨香をベッドへと置き、毛布を掛けてやる。
幸いなことに、周りに教師は居なかったので私と恵梨香の乱れた格好を追求されずに済むだろう。
どうせ、生徒は黙ってくれる。
……昼休みが終わるまであと23分もある。
意外と時間経ってなかったのね。
「あの宵月さん」
「ちょっと待って。私、髪を直してこないと。お手洗いに行ってくるわ」
「はい、分かりました」
その前にっと……寝ている恵梨香のブレザーにそっと私は手を当てる。
「洗浄」
ちょっとした下位水属性魔術を応用したモノを唱える。
すると、恵梨香の服が綺麗になる。
じゃ、お手洗いに行って私も直さないとね。
私は、保健室から出て、お手洗いへと向かう。
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