6、スライム対スライム
すらすけと僕が森に入ると、何者かの大群に草原が踏み荒らされた後があった。
「うわ、結構広い範囲で荒らされてる……一体何匹のスライムがいるんだろう?」
「……ぷるぷる」
僕は、元の大きさに戻っているすらすけと一緒に、森の奥へと進んでいった。
「……なにか音がする!?」
草むらの奥から、ざわざわと音がしている。僕はそっとのぞき込んで、固まった。
「スライムの群れだ!! すらすけ、行くぞ!!」
「ぷるん!」
僕とすらすけはスライムの群れに飛び込んでいった。
「えい!!」
僕の剣がスライムに突き刺さる。なんとか一匹は倒せた。
「ぷるるんっ!!」
すらすけが氷の矢を吐き出した。スライムを三匹倒した。
「……ヤメテ、タタカイ、イヤ」
スライムの大群の中央にいた、ピンクのスライムが僕に話しかけてきた。
「え!? キミ、話せるの?」
「ワタシノコトバ、ワカルノ?」
その時、ピンクのスライムは仲間のはずのスライムから襲われた。
僕はピンクのスライムをかばって、スライムの攻撃を受け流した。
「ミンナ、タタカイ、ヤメテクレナイ」
「キミ、僕たちと一緒に来る?」
「……イタイコト、シナイ?」
僕が返事に困っていると、すらすけがピンクのスライムに寄り添った。
「アナタ、イイヒト。スラスケ、タスケタ」
僕たちが会話に気を取られていると、敵のスライムから攻撃を受けて、僕の腕から血が流れた。
「あっ」
「……ワタシ、アナタノナカマ、ナル」
僕はそれを聞いて、ピンクのスライムに手を置いた。
『スライムマスタースキル作動。スライムに名前を付けますか?』
「はい、名前は……すらみ!」
「ワタシ、……スラミ?」
僕はすらみに手を当てたまま、すらみの強化を試みた。
『スラミ、強化スキル作動。回復魔法を覚えました』
「ヒール!」
すらみが呪文を唱えると、僕の腕の傷が塞がった。
残っているスライムはあと十五匹強だ。僕とすらすけとすらみで、敵のスライムを倒していった。
しばらくすると、草原には倒されたスライムのコアが沢山転がっていた。
「よし、コアを集めてチェントロの町の冒険者ギルドに行こう!」
「ぷるん」
「ハイ」
僕と二匹のスライムは、森を北に進み、テッラの町を越え、チェントロの町へと向かった。