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手探りです。
不定期更新宜しくお願いしますm(_ _)m
市井で生まれ育ち母と2人きりで暮らしていたマリア· リリベルは、周りにはない髪色と瞳の色をしていた。
生まれた時からからその愛くるしい顔立ちと珍しい色合いをしていたマリアは、周りからとても可愛がられていた。
女の子の友達はいないが、跪き騎士の真似事をして守ってくれる男の子は沢山いたし、大人も母も優しかったので同年代同性の子供たちに嫌われていても何とも思っていなかった。
ある日母が流行病に倒れそのまま帰らぬ人になった後、マリアの容姿の噂を聞きつけた貴族が尋ねてくる。
その貴族は、母の昔の恋人だといい、マリアは自分の娘だと言った。
身寄りのなくなったマリアは、その貴族に言われるがまま引き取られ、養女となる。
それが、リリベル子爵だった。
リリベル子爵は、恋人であった時から変わらず愛し続けていた最愛の女性の忘れ形見であるマリアを、宝物の様に大事に大事に育てた。
リリベル子爵は、平民であった母親がマリアを身篭った事で子爵に迷惑をかけないようにと、リリベル子爵に何も告げること無く姿を消した後も変わらずマリアの母親を愛していた。
それは家の相続の為、政略結婚で迎えた本妻を持ったあとも変わらずに。
その後マリアの母親と子爵の本妻が同じ時期同じ病でこの世を去り、子爵と亡くなった本妻の間に子供がいなかった為、何の障害もなく子爵はマリアを見つけ出し、引き取った。
そして子爵の愛情はマリア一人に注がれた。
マリアは市井で大人にいい顔をする術を得ていたのもあり、子爵家の使用人達にもとても好かれた。
その結果、マリアは自分の望むままに周りを動かすのが当たり前だと思うようになる。
マリアが幼い頃、とても流行った童話があった。
それは貧しい家で育った少女が実は隣国の王妃に虐げられ捨てられたお姫様で、捨てられた先の国の王子がその少女を見つけ、救い出してお姫様へと身分の戻った少女と結婚するという内容のものだった。
その童話は幼い少女達みんなが憧れるシンデレラストーリーで、マリアもその童話の少女に自分を重ねてはいつか王子様と結婚したい、と思うようになった。
子爵に引き取られ、ある程度の淑女教育を施されたタイミングで、王宮舞踏会が開かれることになった。
子爵はそこでマリアを社交界デビューさせることにした。
デビュタントとして参加したマリアは、そこで物語のような王子様に出会ってしまう。
そこで思ってしまったのだ。
自分はこの王子様と必ず結婚する、と。
そうして父となった子爵に頼み、貴族としての教育も形だけのまま、王子の通う王都の学院に編入する。
王子やその周りの高位貴族の子息達にも、婚約者がいようとも構わず市井で身につけた術をもって近寄っていくのだ。
それが自分の身の破滅の第一歩だとも知らずに。
ゲームでのマリアをそこまで思い出した私、マリア· リリベル。
本日リリベル子爵のお迎えにより、子爵家の養女となりました。