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プロローグ
ふと、目の前の景色に違和感を覚えた。
隣で私の手を引いている、今日初めて会った私の父らしいこの男性にも。
今まで住んでいた自分の家の窓に映りこんだ自分の容姿に、違和感と既視感。
薄桃色の髪の毛。
菫色の円な瞳。
繊細で可愛らしい顔立ちに、華奢な手足。
その時、ハッと気付いてしまった。
ここは前世で体験プレイした乙女ゲームの世界だと。
それも普通の乙女ゲームではない。
その時流行っていた悪役令嬢への断罪、からのざまぁ返し。
それを主題にした乙女ゲーム。
ざまぁされるのは、ハーレムを築き、悪役令嬢を不当に断罪し、令嬢の婚約者を略奪しようとする下位貴族の少女。
少女の名前はマリア· リリベル
私の名前だ。