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エピローグ

エピローグ


 こうして、デーモンとの戦いは終わった。

 犠牲者はゼロだったが、街の被害は甚大だった。街の中心部から半径一〇〇メートルの土地が更地となった。住民の避難が完了していたからいいものの、キョウヤが放ったレーヴァテインの威力にアリシアは驚かされた。

 街を破壊したのはデーモンという話になっていた。元々、街一つを破壊できるほどの存在だ。住民が疑うことはないだろう。

 街を更地に変えた爆発は街の外れからも目撃されたそうだ。建物の破片も残さず消滅させた力を思い知った人類はデーモンに対する警戒をさらに高めることになるだろう。そうなれば、《黄昏》であるアリシアの存在もさらに警戒されることになりそうだ。

 アリシアは、はぁと深い溜息をついた。

 アリシアはこの街で最後となる買い出しをしていた。この街を出ることを決めた。

 デーモンがこれほどの被害を街に与えた以上、教会側から神官達が派遣されてくるだろう。神官達が到着すれば、復興支援のために活動を始める。もちろん、《黄昏》の調査も。

 神官達が派遣されてくる前に、アリシアはこの街を出発する必要があった。

 そのせいでアリシアは朝から食料や旅に必要なものを求めて走り回っていた。被害者が出なかったとはいえ、住処を失った者もいる。そんな中、食料を集めるのは大変だった。

 アリシアはこうして街を走り回っていると、昔を思い出した。人の役に立つため、頑張っていたあの頃を。

 辛いことがたくさんあった。だけど、それを上回るほど嬉しいこともあった。

 また、旅が始まる。でも、今度は一人ではない。どこかから召喚された不運な少年が一緒だ。

アリシアを助けるために、己の人生を犠牲にしたバカな少年だ。アリシアを助けなれば、普通の人として生きる選択肢があったというのに。

 アリシアの心は高鳴っていた。孤独から解放された嬉しさなのか、これから始まる旅への期待なのかはわからなかった。

 アリシアがガラス張りの店に差し掛かった。ガラスにアリシアの姿が映った。大きな紙袋を抱えている。食料が袋からはみでていた。顔の口角が上がっているように見えた。

朝から走り周り疲れた顔をしている、とアリシアは思っていた。疲れよりもこれからのことに対する楽しみが上回っていたのだろう。ガラスに映った顔の口角がさらに上がり、白い歯が見えた。

小一時間ほど街を駆け回っていたというのに、体が軽かった。心も軽かった。今まで背中に背負っていた十字架を誰かが一緒に背負っていてくれているからかもしれない。

アリシアは鼻歌交じりにステップを踏みながら店を通り過ぎた。


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