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第六章黄昏の巫女
街が真っ赤な炎で燃えていた。
人々が逃げ惑い、助けを求める叫びは止まない。
崩れた建物で道は塞がり、火の海は刻々と街を飲み込んでいた。
アリシアは頬に当たる強い風を感じて、目を覚ました。
足が宙に浮いている。アリシアは空中にいた。眼下には燃える街。夢かと勘違いしてしまうが、夢にしては、肌を焼くような熱気に、人々の悲鳴がリアルだった。
アリシアの下にあった建物がまた一つ爆発し、炎に包まれた。火を放ったのはデーモンだった。アリシアはデーモンに掴まれ、空を飛んでいた。
「い……や、いやああああああああああああああぁぁぁぁっぁぁああああ!」
アリシアが耳を手で塞ぎ、目を閉じて叫び声を上げる。
「私のせいじゃない。私は悪くない。私はこんなことを望んでない! 私のせいで、これ以上、人が死ぬなんて…………もう、見たくない…………」
アリシアの手に黒い模様が浮かび上がった。手だけでない腕や体にも邪神の力による影響が現れていた。
「邪神の力が体をこんなにも侵食している。体が熱い。体の中から炎に焼かれているみたい。恨みや怒りの声が頭の中に響く。耳を塞いでも、脳に直接響いてくる」
アリシアの体から黒いオーラが立ち上る。邪悪な闇にアリシアの体が包み込まれていく。
「こんなの、嫌だ…………私は邪神復活のための生贄になんてなりたくない。助けて…………」
アリシアがか弱い手を満月に向けて伸ばす。
「キョウヤ………………」
アリシアの体が闇に飲み込まれた。




