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1-1

空には雲一つなく太陽の光がさんさんと地上に降り注いでいた。深い森の緑が生き生きとしている。小鳥たちがピーッピーッと鳴いていた。

 一本の大木があった。その木陰の下に巫女がいる。木に背中を預けて座っていた。目は閉じられ、呼吸をする度に胸が上下に規則正しく動く。


「……んん…………」


 巫女が目を静かに開けた。


「……ここは…………」


 巫女は辺りを見渡して、首を傾げる。


「あれ? なんでこんなところに? 私、今まで何をして…………」



「――ようやく目を覚ましたか?」


 巫女と同じくらいの年齢の少年がいた。高い木の枝から巫女を見下ろしている。その表情は険しいが、どこかホッとしている感じもあった。

 少年が木から飛び降り、巫女の前に着地する。


「気分はどうだ?」



「悪くは……ないわね。それより…………」


 巫女は自分の体を抱いて、疑うような視線を少年に向ける。


「私が寝ている間に変なことをしていないわよね?」



「はぁ? 俺がそんなことをすると思っているかよ」



「うん」


 巫女は即答だった。


「あなたは、私のことをいやらしい目で見ているから」



「ひどいな。これでも、一応、命の恩人だぞ。俺が助けなければ、崩れた洞窟に埋まっていたんだぞ、わかっているのか?」



「洞窟…………あっ、思い出した! あなたは、洞窟で会った…………」


 巫女は立ち上がり、身構えた。


「一体、何者なの! 答えなさい!」



「それがわかれば苦労しないんだけどな。こっちが教えてほしいくらいだ」



「とぼけないで! 助けてくれたことには感謝するけど、何が目的なの? もしかして、助けた見返りに私の体を…………」



「――いい加減にしてくれ! こっちだって、わけがわからないんだよ。目が覚めたと思ったら、知らない洞窟にいるし、知らない巫女が倒れているし。事情を説明して欲しいのはこっちの方だ!」


 少年は怒鳴り散らした。

 巫女は怯えるように体を強張らせ、一歩足を引いた。

 少年は少し頭を下げ、声のトーンを落とした。


「悪かった。別に怖がらせるつもりはなかった。ただ、こっちも整理ができてなくて、頭の中がこんがらがっているんだ」



「もしかして…………記憶喪失なの?」



「ああ、そうみたいだ。おまえが眠っている間に思い出そうと頑張ってみたが、ダメだ。何一つ思い出せない。そういうおまえは誰だ?」



「おまえじゃないわ。あなたと違って、私には名前がある。私はアリシア。アリシア・ヴァレンタイン、よ」



「アリシア…………うーん。聞いたことがない名前だ」



「本当に何も覚えていないの? 名前とか、召喚される前のこととか?」



「さっぱりだ。召喚って、アリシアが俺を召喚したのか」



「そう、みたいね…………」


 アリシアが頬を少し赤く染め、両手で頬に手を当てた。


「私の名前を呼んだ……名前を呼ばれるなんて、久しぶりだわ…………」



「ん? 何をニヤニヤしているんだ? 気持ち悪いぞ」



「むっ、失礼ね。別にニヤニヤなんてしてないわよ!」


 アリシアはムキになって、怒鳴り声を上げた。


「あなたは…………んん、名前がないって不便ね。どう呼んでいいかわからないわ。何かいい方法は…………そうだ、助けてくれたお礼に名前をつけてあげるわ」



「名前か…………確かに、名無しっていうのは、微妙だな。だけど、別にアリシアにつけてもらわなくても…………」



「そうね……男の子の名前。何がいいかしら? あなたに合う名前ね…………」


 アリシアは人の話を聞いていなかった。下を向き、独り言のように呟いている。真剣に考えているようだ。

 キョウヤは黙って、アリシアが考え終わるのを待った。

 アリシアが何かを閃いたように顔を上げた。


「…………キョウヤ…………キョウヤ、なんてどう?」



「キョウヤ、か…………悪くはないな」



「でしょっ! 私に感謝しなさい。えっへん」


 アリシアは胸を張って誇らしげにしていた。

 キョウヤはアリシアを見つめた。上から目線でものを言ってくるアリシアに普通の人ならイラッとすることだろう。でも、キョウヤはアリシアのことをなぜか憎めなかった。

 アリシアに

「助けて」

と言われてから、何かに心を縛られているみたいだった。アリシアがキョウヤに何かをしたのは確かだった。

 キョウヤはアリシアを見つめていると、胸がギュッと締めつけられる。それも苦しいぐらいに。呪いの一種かもしれない。

誰かに縛られるのは気に入らなかった。キョウヤは束縛するものが具体的に何かを探ろうとした。


「それで、どうして、俺を召喚したんだ?」



「別に、キョウヤを召喚しようと思って儀式をしたわけじゃないわ」



「ということは、俺はこの世界に間違って召喚されたのか?」



「そういうことになるわね。異世界から召喚されたのか、それとも、この世界のどこから呼び出されたかは知らないけど」



「他人事だな」



「私にとっては他人事だもの」



「で、本当は何を召喚しようとしたんだ?」



「そ、それは…………」


 アリシアは目を背けた。


「別に何だっていいでしょ。キョウヤには関係ないことだわ」



「そのせいで、俺が召喚されたわけだから、無関係ではないと思うけどな」



「うるさいっ! 口答えしないの!」


 アリシアは何かを隠していた。


「じゃあ、そういうことだから」



「どこへ行くんだよ!」


 キョウヤは立ち去ろうとするアリシアの手を握った。

 アリシアはキョウヤの手をバシッと払い除けて、振り返った。


「私にはやらなければならないことがあるの。だから、邪魔しないでくれるかしら?」



「いいや、悪いが、まだ逃がすわけにはいかない。教えてもらわなければいけないことがある。一体、俺になんの術をかけた?」



「術? そんなものかけた覚えはないわ」



「嘘をつくな。だったら、どうして、心がざわつくんだ」



「そんなこと、知らないわよ……………まぁ、いいわ。そういうことなら…………」


 アリシアがキョウヤに手のひらを向けた。


「束縛せよ! 貪り喰らうグレイプニル


 キョウヤを囲むように、空中に魔法陣が展開された。その魔法陣から鎖が飛び出し、キョウヤの手足や胴体を束縛する。


「なんだ、これ?」



「拘束術式――グレイプニル。鎖に縛られた者の身動きを封じる術式よ」



「なかなか丈夫な鎖みたいだな」


 キョウヤが片手を前に引っ張るが、鎖は簡単に解けない。鎖を引きちぎるしか脱出の方法はなさそうだ。


「残念だけど、キョウヤは私にこれ以上、一歩も近づくことはできない。巫女の力を侮らないことね」



「へぇー、巫女っていうのはこんなことができるのか?」



「もちろん、束縛だけじゃないわ。結界・封印などの術式も扱えるのよ。私とキョウヤの力の差がわかったかしら」



「ああ、わかったよ……これが巫女の力か……」


 キョウヤは鎖を引っ張っていた腕の力を抜いた。鎖により腕が後ろに引っ張られる。

 アリシアは勝者の笑みを浮かべる。


「危害を加えるつもりはないわ。わかったなら、そこで大人しく……」



「――巫女の力ってやつは……この程度かよっ!」


 キョウヤは思いっきり腕を引っ張った。鎖がじゃらじゃらとうるさい音を立てて、砕け散った。

 アリシアが信じられないものを見たように、目を丸くしていた。


「そ、そんな、あり得ない。大型魔獣でも束縛する鎖が、いとも簡単に引きちぎられるなんて…………しかも、魔術も使わず、腕力だけで破壊するなんて…………」


 キョウヤはアリシアに向かって一歩を踏み出す。足に絡みついていた鎖が弾けた。胴体に絡みついていた鎖も同様にキョウヤの体から離れた。


「覚悟はできているんだろうな。次は俺の番だ」


 アリシアが怯えるように少しずつ後退を始めた。


「いや、来ないでっ!」



「嫌だね。どうして、そんな命令を聞かなきゃいけないんだ?」



「止めて…………お願い…………」


 アリシアは足を止めた。後ろの大木が邪魔でもうこれ以上、後ろに下がれなかった。

 アリシアは今にも泣き出しそうだった。目尻に涙が溜まっている。

 キョウヤはアリシアの後ろの大木に手をついた。

 大木が大きく揺れ、木に留まっていた鳥達が一斉に飛び立った。


「さぁ、教えてもらおうか? 俺にかけた術がなんなのか? この心のイライラの原因を!」



「な、なんでもするから、お願い、助けて…………………」



「ぐっ…………」


 アリシアの言葉を聞いた途端、胸が締めつけられる。キョウヤは木についていない手で胸を押さえた。洞窟で初めて命令されたときと同じ感覚だ。やはり、アリシアはキョウヤに何かの術をかけている。キョウヤの心を縛る正体不明の術である。これも巫女の術式なのだろうか。

 胸を縛るような息苦しさはまだ続いている。空気をより多く取り込もうと心臓が鼓動を早める。

 頭が少しくらっとした。それに、熱っぽい。

 キョウヤはアリシアの後ろの木に手をついているため、お互いの顔は近かった。

 アリシアの顔を見ていると、胸の鼓動がどんどん早くなる。

 みずみずしい果実のように潤んだ小さな唇。ほんのりと桜色に色づいた頬。宝石のようにキラキラとした丸い瞳。そよ風に吹かれ、さらさらと揺れる前髪。

(一体、何の術をかけた!)

 キョウヤのイライラが高まっていく。

 こんな術をかけたアリシアが憎らしい。でも、心の中で憎しみ以上の感情が渦を巻いている。

(なんなんだ、この気持はっ! アリシアを助けたい…………そうだけど、少し違う。アリシアのことを守りたい。おしい。もう少しだ。もう少しで、この気持の正体がわかる。俺はアリシアをどうしたいんだ!)

 キョウヤは心の中で暴れる竜のような感情の正体を探る。竜の尻尾を掴み、その正体がわかりかけてきた。

 アリシアが心配そうな瞳でキョウヤの顔を覗き込んだ。


「あの…………大丈夫? さっきから、顔色が悪いわよ」



「うるさい、黙れっ! あと少しなんだ。もう少しでわかりそうなんだ」



「もしかして、記憶が…………」


 アリシアがキョウヤの手を両手で優しく包み込んだ。


「頑張って。応援しているわ」



「ぐっ………………」


 手からアリシアの温もりが感じられる。アリシアのことを愛おしく感じる。もっと、近くにいたい。触れ合いたい。感じていたい。

キョウヤはアリシアの両肩に手を置いた。


「俺は…………アリシアのことが…………」



「えっ……………………」


(好きだああああああああああああああああああああああああっあああああ!)

 キョウヤは心の中で絶叫した。同時に、アリシアのことを思いっきり抱きしめた。


「――ちょっと、キョウヤ。これは、一体、なんの真似かしら? いきなり抱きつかれたら、私……恥ずかしいわ……」


 キョウヤは心にかけられた呪いの正体を悟った。それは、恋だった。

 キョウヤはアリシアのことが愛おしくてたまらない。

 でも、それは、歪められた感情。偽物の感情だった。

 キョウヤの意志とは関係がない。体が勝手に動いてしまうのだ。アリシアが好きだという感情に逆らえば逆らうほど、その気持は高まるばかりだった。

 呪いが憎い。キョウヤの意志を捻じ曲げ、勝手な感情を押し付ける呪いが。

 キョウヤは何かに束縛されることが何よりも嫌いだった。行動を制限されることも、心を縛りつけるこの感情も嫌いだ。

 この時、キョウヤは誓った。

 必ず、アリシアにかけられた恋という心の封印を解除し、自分の心を取り戻すと。

 どんな犠牲を払ってでも、必ず、解除してみせる。たとえ、それで世界が滅ぶことになろうとも。

 キョウヤの意識が現実に戻ってきた。

 腕の中に柔らかで暖かな存在を感じる。

 アリシアが耳まで顔を真赤にしていた。


「いつまで、抱きしめているのよ! キョウヤのバカ!」


 アリシアの強烈なビンタがキョウヤの頬にクリティカルヒットした。

 とても女性の力とは思えない強力な一撃であった。キョウヤは地面に尻もちをついた。


「痛てて…………」


 キョウヤはじんじんと痛む頬を手で擦った。

 アリシアが自分の体を守るように抱いていた。急に抱きつかれたことがよほど嫌だったのか、目から涙が零れそうだった。


「キョウヤなんて、大っきらい! ふんっ」


 アリシアはキョウヤから顔を背けた。相当、お怒りのようだった。

 当然の反応だ。キョウヤが悪いのはわかっている。けれど、仕方がなかった。キョウヤの意志とは関係なく、勝手に体が動いてしまったのだ。それをアリシアに説明したところでわかってもらえるはずもなく、キョウヤは頭を抱えた。

 やっと、アリシアにかけられた封印の正体がわかった。けれど、封印の解除方法がわからない。


「俺は、どうすれば…………んっ……」


 キョウヤは左手で頭を掻いた。そのとき、自分の手首に金色に輝くブレスレットがあった。そんなものがあったことに初めて気づいた。


「なんだ、これ? これ、どこかで…………」


 太陽の光を受けて、キラキラと輝く九色のクリスタルがブレスレットの周りについている。キョウヤはこれと同じブレスレットをどこかで見た覚えがあった。

 どこで見たのか必死に思い出そうと頭を捻っていると、アリシアがあっ、と大声を上げた。


「どうして、キョウヤがそれを…………」


アリシアの右手首にキョウヤがしているブレスレットと同じものがあった。


「そ、そんな…………レ―ギャルンが半分に。儀式の途中で無理やり中断されたから、封印が完全に移行せずに、こんなことに…………」



「おい、俺にもわかるように説明してくれよ」


 アリシアがじろっと蛇が獲物を睨むようにキョウヤを見た。


「もう、しょうがないわね…………」


 アリシアはやれやれと手を振った。


「これは、封印術式、レーギャルン。とある力を封印するブレスレットよ。元々は私がつけていたもので、それを、今回の儀式で移動させるつもりだったわ。それなのに…………」


 アリシアがキョウヤの胸ぐらを掴んで前後に揺らした。


「どうしてくれるのよ! キョウヤのせいで、封印が二つに分断されたのよ。封印の効果も半分。これでは、力を封印できない!」



「落ち着けよ。ブレスレットが分断できたということは、元に戻すこともできるんじゃないか?」



「それもそうね」


 アリシアがあっさりと気持ちを切り替えた。キョウヤから手を離す。


「早速、やってみましょう。キョウヤは目を閉じてて」



「目を閉じる必要があるのか?」



「いいから、言う通りにしなさい! 封印が解除できなくてもいいのかしら?」


 キョウヤはアリシアに言われた通り、目を閉じた。

 キョウヤは確信していた。キョウヤの手首に巻きついたブレスレットこそ、心を縛るものの原因であると。

 ブレスレットを外すことができれば、キョウヤの心を縛るものは何もない。誰にも縛られることなく、自由に行動することができる。

 アリシアがキョウヤの手に触れてきた。


「忌まわしき力を封じる九つの枷よ…………」


 キョウヤは様子が気になり、目を開けた。

 目を開けた程度で失敗する儀式ではないだろう、とキョウヤは思った。

 アリシアはまぶたを閉じていた。キョウヤの手首にあるブレスレットに自身のブレスレットを重ねている。

ブレスレットはアリシアの呪文に反応するように金色の光を輝かせる。

 森の木々が葉を擦り合わせ、ざわめいていた。


「…………九つの鍵を以て封じられし力を解放せよ。レ―ギャルン――開放っ!」


 キョウヤとアリシアのブレスレット――レーギャルンが同時に弾けた。光の粒子が辺りに舞う。キョウヤとアリシアを囲むように九色のクリスタルが宙を回る。

 ブレスレットがキョウヤの手首から消えたが、キョウヤ自身に変化は感じられなかった。力が溢れてくるわけでもなく、心の呪縛が消えた感覚もない。完全に封印が解除されていないからかもしれない。

 二つに分断されたレーギャルンがそれぞれ、空に綺麗な螺旋を描いていた。色とりどりのクリスタルがゆっくり回っている。円形の虹に囲まれているようだった。

 アリシアは目を閉じたまま、難しそうな顔をしていた。分断されたレーギャルンを元に戻そうと、頭の中で複雑な術式を操っているのだろう。

九色のクリスタルが描く二つ軌跡が同調してきた。あと少しで一つに戻るというそのときだった。

 光が霧散した。周囲を照らしていた光の粒子が消える。

ブレスレットはアリシアが解除する前と同じ状態に戻っていた。

 アリシアがふらついていた。倒れそうになるアリシアをキョウヤは支えた。


「大丈夫か?」



「ええ…………ちょっと、疲れたかも。封印を解除するのに、結構な力を使ってしまったようね」


 アリシアは崩れるようにその場に座り込んだ。


「レ―ギャルンを元の完全な状態に戻せない。封印を解除する方法は知っていても、分断された封印を元に戻す方法なんて知らないわ。封印の力が半減した今の状態では、いつまで、力を封じることができるかしら?」



「おーい、大丈夫か?」


 アリシアはひどく落ち込んでいた。深い溜息をつく。


「私は失敗した…………もう取り返しがつかない。終わった…………。やっぱり、運命は変えられないのよ」



「運命? なんのことだ?」


 アリシアが静かに立ち上がると、おぼつかない足取りで森へと向かって歩き出した。

 キョウヤはアリシアの肩に手を置いた。


「おい、どこに行くんだよ」



「――触らないで!」


 アリシアはキョウヤの手を強く払いのけた。それはキョウヤに対する拒絶だった。

 キョウヤは言葉が出なかった。いや、どんな言葉をかけていいかわからず、固まってしまう。

アリシアは泣いていた。巫女服で涙を拭く。それでも、涙は止まることなく、崩壊したダムのように次々と大粒の涙が地面に零れる。


「私といれば、キョウヤは不幸になる。どこへでも好きなところへ行けばいいわ」


アリシアが森へ向かって駆け出した。

キョウヤはアリシアに向かって手を伸ばした。


「――ま、待て………………」


その手は何も掴めなかった。キョウヤはアリシアの手を掴むのを躊躇った。

背中で長い髪が跳ねる巫女の後ろ姿を見ているしかできなかった。アリシアの姿は森の中に消え、見えなくなった。


「別に、あんなやつ、放っておけばいい。アリシアさえ、いなくなれば、俺を縛るものは何もない。自由だ」


 キョウヤは空を見上げた。

 蒼く澄んだ気持ちのよい空だった。けれど、一つの黒雲が浮かんでいた。太陽に照らされても消せない心のモヤモヤのように思えた。


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