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口減らし
「ええと、死因を聞いても?」
「はい。死因は水銀中毒です」
ゆうに三拍ほど固まってから、面接官が問い返す。
「……水銀中毒?え?公害とかで?」
「いえ、母に盛られてたらしくて」
再び、面接官が固まった。
「……お母さまに?」
暗に、何故、と言う思いを隠した問いに、天使候補は自嘲を含んだ笑みを浮かべる。
「はい。通学時に水筒を持たされていたんですけれど、そこに水銀が入っていたみたいで」
一度言葉を止めてから、天使候補は続けた。
「保険金が、欲しかったらしいです」
「保険金」
「はい。兄を大学に行かせるために、お金が必要で」
m(__)m




