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不謹慎です

 

 

 

「死ぬことになったのはどうして?」

「怪我人が三人いて、医師がひとりしかいなかったんです」


 天使候補は、困ったような笑みで答えた。


「間に合わなかった、と言うことですか?」

「そうなる、んですかね?全員重症で、でも、私がいちばん重篤で」

「それで……」


 痛ましそうな顔をして、面接官は先の言葉を控えた。


「それで、見捨ててくれるようにお願いしたんです」

「え?」


 控えた言葉の先とは異なることを言われて、面接官が瞠目する。


「見捨て、え……?」

「あ、ええと」


 落ち着いてくれと片手を挙げ、天使候補が説明する。


「三人とも重症で、一刻も早い処置が必要だったんです」


 言って、天使候補が面接官の理解を待つ。


「はい」

「不幸にも離島で、医師はひとり」

「はい」

「医療器具も限られており、設備も調ってはいない」

「はい」

「本土への救援依頼はしたが、間に合うとは思えない」

「はい」

「その状況で、たとえ処置しても助かる見込みが薄い怪我を、私は負っていたんです」

「……はい」

「医師もそれには気付いていた」


 面接官が瞬き三つする間、天使候補は静かに待っていた。


「はい」

「残りふたりは、すぐ処置すれば助かる可能性が高い」

「はい」

「けれど、時間が経てば間に合わなくなる」

「……ですが、」

「だから」


 天使候補が初めて、待たずに言葉を重ねる。


「私より先にふたりをと、医師に頼んだんです。早くふたりの治療をしろ、さもなきゃ殺してやると、怒鳴った」

「そんな、」

「医師は気持ちを、酌んでくれました」


 言うなと掌を見せ、天使候補は微笑んだ。


「結果として、ふたりも助かった。過程がどうあれ、それで、良いんです」

 

 

 

m(__)m

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