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日本恐い、危険と言われる原因
「最後に、死因をお聞かせ頂けますか」
面接官に訊ねられて、天使候補は、ひゅっ、と息を吸い込んだ。
みるみるうちに、その顔が青褪めて行く。
かたかたと震え出した身体と見開かれた瞳、にじむ脂汗に、面接官が心配そうな顔を見せる。
「あの、無理でしたら、」
「いえ」
否定するも、天使候補の声は震えていた。
「あの、」
喉すら震えてしまっているのだろう。どうにか声を出そうとしても出すことが出来ず、何度も何度も深呼吸を繰り返してから、天使候補は声を絞り出した。
「ハチに、刺され、て……」
がたがたと震える身体、荒い呼吸。
ただ、刺されただけとは、思えない怯え様だった。
「サバゲ、中、に、ペイント、弾が、スズメバチ、の、巣に……」
ぽろ、と、見開かれた目から涙が落ちる。
「わ、わたし、の、弾、じゃ、な、かた、ですけ、ど」
何度も深く早い呼吸を挟みながら、それでも天使候補は語る。
「たまたま、わた、しが、近くに……」
面接官は立ち上がり、天使候補に歩み寄ると横に膝を突いて震える背を抱き寄せた。
「もう、大丈夫ですよ」
「っぁい」
頷く天使候補の、未だ震える身体を面接官が撫でる。
「恐かった、ですね」
「……っ」
両手を握り締めて、天使候補は何度も頷いた。
m(_ _)m