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なんで死んだとかこっちが訊きたい
「死因を教えて下さい」
「病死?です」
首を傾げながら、天使候補は言った。
「確証がないのですか?」
「いや、気付いたら死んでて。心不全だかなんだかって、医師の診断が」
「まだお若いですよね?なにか、元々疾患を?」
「いや、全く」
天使候補はふるふると頭を振り、腕を組むと難しい顔をした。
「体調が悪いとかもなくて、ただ、寝て起きたら死んでたんですよね。アレルギーとかもないし、自分でも何がなんだか……」
死ぬってわかっていれば身辺整理とか出来たんですけどねぇと、天使候補は苦笑した。
「そんなこともあるんですね」
「そうですねー」
「……自分の死因ですよね?」
のほほんとした受け答えに、面接官の方が困った顔をする。
「いや、医者にもわからないならわたしにわかるわけがないですし、わかったところで生き返れるわけでもないので」
「それはそうですけど」
無関心過ぎやしないかと、面接官は呆れた。
「そんなだから、体調不良も見逃したのでは?」
「そうかもしれませんが、それも今となってはわかりませんから」
緊張感のない笑みを見せた天使候補に、面接官は溜め息を落とした。
m(_ _)m