65
断捨離(された方)
「死因を聞かせて頂けますか」
「……夫に、殺されました」
「ええ?」
驚いた表情の面接官に、天使候補が暗い顔をして見せる。
「詳しい状況を、お聞きしても?」
「夫が突然激昂して、殴り掛かって来たんです。素手で殴られて、突き飛ばされて、テーブルの角に頭をぶつけて、そのまま……」
語る様は、まさに理不尽な暴力にさらされた被害者だった。
「突然激昂、ですか。なにか、心当たりは?」
「ありません。不通に、夫が短期の出張から戻って来たと思ったら、部屋に荷物を置くなり凄い形相で詰め寄って来て……」
そこまで聞いた面接官は、合点が言ったと言いたげな表情になって問いを投げ掛けた。
「不倫、などは」
「しているわけがありません!私は、夫と子供のために必死で」
うんうんと頷き、面接官が続ける。
「旦那さまの不在中、なにか捨てたりは」
こちらは心当たりがあったようで、天使候補は瞠目し、でも、と言った。
「あんな、ゴミみたいな」
「ゴミ。乱雑に置かれていた、と言うことですか?」
「いえ、棚に並べて。でも、要らないものですし、捨てても困りは、」
そこまで、と言うように立てた手のひらを差し出して、面接官は言った。
「旦那さまにとってはその、あなたが要らないと判断したものより、あなたの方が要らないものだった、と言うことですよ」
m(__)m




