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あまり詳しくはない
「死んだ理由は?」
「持病の発作で」
天使候補は苦い笑みを浮かべた。
「生放送中で、すっごい他人に心配掛けた」
「生放送?芸能人?」
「いや、フツーの一般人だよ。25動の生主。知らない?」
「聞いたことは。ようつうばーみたいなのだよね」
「違う」
天使候補がきっぱりと、面接官に否定を投げた。
「ようつうばーは広告代貰って動画上げる奴。生主はお金払って動画上げる奴。似てるようで、違うよ」
「そうなんだ」
「それこそ芸能人なら、25動でもお金取れるけどね。あたしはフォロワーギリギリ4桁行ったくらいのレベルだし、やってることもフリゲ実況だし、ようつうばーみたいな金儲けは無理だよ。完全な自己満足。単なる趣味だね」
ふう、と溜め息を吐いて、天使候補が続ける。
「で、今日も今日とて生放送でゲーム実況してたら、途中で発作起こしちゃって、慌ててマイク切ってちょっと落ちまーすって打ち込んだけど、呻き声と荒い息、完全に拾われてた」
天使候補が額を押さえて力なく項垂れる。
「死ぬまで知らなかったんだけどさ、生放送見てるなかにリアルの知り合い居て、あたしって特定してて、持病持ちなのも知ってるから、泡喰って駆け付け、ライン送っても、電話しても、インターフォン押しても、ドアガンガン叩いても反応しないから不動産屋に電話して、そっから親に伝わり、部屋開けてみればパソコン前にしてぶっ倒れてるあたし」
ほんとなにやってんだろうね。
天使候補が浮かべたのは、自嘲気味の笑みだった。
「そのときにはもう、事切れてたよ。その、駆け付けた知り合いがとぅいったーにあたしの訃報を載っけて、おしまい」
「持病なら、薬とかは」
「常に薬飲んでて、それでも発作が起きたら病院行くしかない。あー、気休めの薬はどうにか飲んだけどね。それだけで精一杯で救急車呼ぶどころじゃなかった」
「……どうして、独り暮らしなんて」
面接官が問い掛ければ、だってと天使候補は笑う。
「常に監視されるなんて、そんな息が詰まる生活は、嫌だったからさ」
くすっと声をもらして、天使候補は言った。
「まあ、短命だったのは否定しないけど、上っ面だけだとしても千人に惜しまれたんだから、上出来じゃないかな」
m(__)m




