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独り暮らしに忍び寄る恐怖
「死なれた理由はなんですか」
「……ベッドから落ちて」
「ベッドから?」
面接官がぱちりと、目をまたたいた。
「二段ベッドでも使われて?」
「いいえ。普通の、低いベッドです」
「そこから落ちて、亡くなられた」
「はい」
「下に危険物でも?」
天使候補はふるふると首を振った。
「地震が、あったんですよね」
「はい」
「けっこう大きい」
「ああ、半月ほど前のものですね」
「そう。それです。それで、ベッドがずれてたんです。でも、重いし直すのも億劫で」
天使候補が溜め息を吐く。
「そしたら、ずれて出来たベッドと壁の隙間に落っこちて、はまって出らんなくなっちゃって」
「助けは」
「一人暮らしなもんで。携帯も、手が届く位置じゃなかったし、丁度一人旅をするために長期休みを取ったところで」
「どうしても、出られなかったんですか?」
「結構、足掻いたんですけどね……」
遠い目をして、天使候補は呟いた。
「そのまま死んだので、飢えか渇きか、鬱血や窒息とかもあり得るだろうし」
実はまだ、発見されてないんですよね……。
もはや笑うしかないと言う態度の天使候補を見つめて、面接官も笑い返した。
「……御愁傷様です」
それ以外に、言える言葉はなかった。
m(__)m




