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おや、雲行きの様子が……
「死んだ理由は、」
「オオシロカラカサタケと、イヌサフランですね。闇鍋するのにほかの具材と一緒に入れて食べました」
天使候補は事も無げに、さらりと答えた。
「お鍋に、毒キノコと毒草を……?それは、気付かずに?」
「俺が入れたのはオオシロカラカサタケですけど、わかって入れましたね。イヌサフランは別の奴が入れてましたけど、まあ、気付いてたんじゃないですかね」
「それは、え?自殺ですか?それとも、若気の至りで?」
「幼馴染が結婚するので」
わずかに微笑んでいるような、ほんの少しだけ口角を上げた顔で、天使候補は言った。
「お祝いにっていって、俺と結婚する幼馴染と、腐れ縁のもうひとりの三人で集まって鍋パーティしたんですよね。ただの鍋じゃ面白くないから闇鍋にしようぜっていって、それぞれ食材持ち寄って」
「そこに、あなたは毒キノコを?」
「ええ。で、腐れ縁のもうひとりがイヌサフランですね。もちろん、ほかに普通の食材も入れましたけど。下拵えした状態で持って行ったから、気付かなかったんでしょうね、アイツは」
ついと目を細めた口許は、笑むように弧を描いているのに、なぜか笑ったようには見えなかった。
「キムチ鍋にしたし、味も違和感はそうなかったですね。三人でたらふく食べて、飲んで、眠って、死んだんです」
「眠って?」
「睡眠薬、入れてあったので。酒に」
答える言葉に、躊躇いはなかった。
「どうして」
「アイツが結婚するから。腐れ縁のもうひとりも、同じ理由でしょうね」
あくまで穏やかな表情と、静かな口調。しかし、底冷えするような空寒いなにかが、そこにはあった。
「アイツがほかの男のものになるくらいなら」
天使候補は、語る。
「三人で死んだ方が、ずっと良い」
m(__)m




