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ウシモチーフの拷問
「死んだ原因を、教えて貰える?」
「ファラリスの雄牛です」
「んん?」
きょとんとした面接官に、天使候補はにこりと微笑んで言った。
「拷問方法のひとつですね」
「拷問、ですか」
「知らないなら、知らないままの方が幸せですよ」
「……どうして、拷問に?」
「ほかのどんなものを捨ててでも、矜恃を守ったからです」
天使候補の口調は、あくまで穏やかだった。
「後悔は」
「ありません」
「そんな、知らない方が幸せな拷問を受けても?」
その笑顔は、まるで、ウリエルのようだった。
「天使を裏切って豚に飼われるくらいなら、豚に喰われる方がマシです。それに、期待外れでしたでしょうから。わたしは、ひと声も発しませんでした。だから、満足です。心残りがあるとすればそれは、死んだことより、あの子を最期まで見守ってあげられなかったことです」
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