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メタァ
「死んだときのこと、聞かせてくれる?」
「はい。あの、忘年会で、余興をやったんですけど」
「余興」
「ええ。私はウシ役で」
「まだ引っ張るんだ」
「え?」
「いや、こっちの話。続けて?」
「アッハイ。えっと、ウシ役で、あの、着ぐるみパジャマ着てたんです。タオル地の。ごわつくからって、中はヒートテックにスパッツで」
「それで?」
面接官に促されて、天使候補が続ける。
「余興後は普通に飲み会で、ウシのまんま飲んでたんですけど、飲み過ぎて、ウシのまんまお店を出ちゃって」
「それは、まあ、うん、やらかしたね」
「運悪く、悪ノリする知らない若者に捕まって、さらに飲んじゃって」
「うわぁ……」
共感性羞恥でも感じたかのように、面接官が顔を覆う。
それでもプロ根性か、面接官は先を促した。
「それで?」
「泥酔したまま夜の街に取り残され、道端で、薄着で熟睡。次の日には……」
「……酒は飲んでも」
「飲まれるな」
「それな!」
そう、わかってはいるんだよ……。
なにか思い出したくない思い出でもあるのか、顔を覆ったまま、面接官は呟いた。
m(__)m




