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だって食べたかったから
「死因を教えて貰えるかな?」
「……A5ランクだったんです」
「んん?」
「A5ランクの、松阪牛だったんです」
「うん」
天使候補が神妙な面持ちで話し出した唐突な話に、面接官は意味がわからないながらも神妙に頷き返した。
「世界に誇れる、最高級肉ですよ?」
「そうだね。うん」
「食べずには、いられないじゃないですか……っ」
くうっ、と天使候補が唸る。
「もしかして、無銭飲食、とか」
「いえ。奢りです。ひとのお金で食べる高いお肉美味い」
「じゃあ、腐ってた?」
「とんでもない。予約の取れない人気店です。腐る前に売れますよ」
「でも、肉を食べて死んだんでしょ?」
「ただのお肉じゃないですよ、A5ランク松阪牛です」
だから、と天使候補は続けた。
「お腹一杯、食べちゃったんです。わたし、牛肉アレルギーなのに」
m(__)m




